内容説明
なぜ父親は、離婚で子供の親権を認められないのか?なぜ男性のDV被害は、問題にならないのか?夫のペニスを切断した“ホビット事件”、最高裁判事候補がセクハラで訴えられた“C・トーマス事件”、14人の女性を殺害した“モントリオール理工科大学銃撃事件”などを取り上げ、これらの事件後、いかに政治的な運動と論争が起こされ、世論がマスメディアによって形成され、男性差別的な法改正が行われたかを検証する。そして、1990年代以降、この合法化された“男性蔑視”(ミサンドリー)が、裁判所・教育機関・政府委員会・企業から、雇用・結婚・離婚・セクハラ・暴力・人権に影響を与える法律や政策に至るまで、いかに浸透していったかを明らかにする。
目次
社会的制裁から、法的な男性差別へ
第1部 裁判にかけられる男性―世論の法廷(妻対DV加害者―ホビット事件;ワーカー対ハラスメント者―ヒル対トーマスの論争;殉教者対殺人者―モントリオール大学の虐殺)
第2部 裁判にかけられる権利―経済問題(女性の権利対人権―付与される権利の事例;母親の権利対父親の権利―子どものケース)
第3部 裁判にかけられるセックス―解放から分離へ(権力対快楽―ポルノグラフィ/売春のケース;女性被害者対男性被害者―女性に対する暴力の事例)
第4部 裁判にかけられる社会―教室から立法まで(イデオロギーフェミニズム対学問―見せ掛けとしての女性学;ミサンドリー対男女平等―静かな革命)
付録(私たちへの批評に対する応答―『広がるミサンドリー』再考;北京での政治駆け引き―国際連合もしくは女性連合?)
著者等紹介
ナサンソン,ポール[ナサンソン,ポール] [Nathanson,Paul]
カナダ・マギル大学元宗教学部教授、美術史BA、キリスト教神学BTh、宗教学MA(ユダヤ教徒イスラム教)、宗教科学Ph.D(宗教と神聖化)。宗教と世俗化の閉じられた関係を研究
ヤング,キャサリン・K.[ヤング,キャサリンK.] [Young,Katherine K.]
カナダ・マギル大学(McGill University)名誉教授、宗教学Ph.D。ジェンダー、ヒンズー教、比較宗教学、倫理学の4つの領域で研究論文を出版しているほか、ジェンダーのトピックでは宗教科学の用語のための「ジェンダーとセックス」の概要論文を含め、16冊の学術書、30以上の百科事典のジェンダーの分野の編集に関わっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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