- ホーム
- > 和書
- > 教養
- > ノンフィクション
- > ノンフィクションその他
出版社内容情報
長崎から神戸、京都、箱根、東京、そして日光へ。
東洋文化への深い理解と、美しきもの、弱きものへの慈しみの眼差しを湛えた、ときに厳しくも温かい、五か月間の日本紀行。
写真70点収録!
春はいまだ寒い。樟はその艶のある葉を震わせている。その葉を摘み、われわれは樟脳の香を確かめる。細く美しい――日本の――笹は、けば立ち少し波うったような、すこぶる長いダチョウの羽のように、束になって地面に密生し、岩の上に飾り物のような姿を見せている。藤――オランダ語で「青い雨」――は、いまだ黙したままだ。一世紀の間、身をよじらせてきた幹は、さらに螺旋を描いて伸び、その枝を蔓棚や東屋の棚に蛇のように絡ませ、最初の一葉、またそれが花房となるのを待ちながら裸身を晒している。そして、身を切るような風の中、今年初めての桃の花は、紫色に、身震いする小枝の間で、まき散らされ吹き飛ばされるかのごとく、幽く寒さに震えている。(…)それから、たいてい傍らに庭石を飾りに添えた盆栽のある庭がある。そしてわれわれにお辞儀をする女性たちは艶やかな髪を結い上げ、干し物をしている。(本書より)
内容説明
長崎から神戸、京都、箱根、東京、そして日光へ。東洋文化への深い理解と、美しきもの、弱きものへの慈しみの眼差しを湛えた、ときに厳しくも温かい、五か月間の日本紀行。写真70点収録!
目次
中国
日本(長崎;長崎から神戸、京都へ;日本史入門;御所;桜の季節;黄金のパビリオン;木々;城;寺院;入院 ほか)
著者等紹介
クペールス,ルイ[クペールス,ルイ] [Couperus,Louis]
1863年6月10日、オランダ・ハーグ生まれ。ヨーロッパの「ベル・エポック」期に数々の大作を発表し、国内外で広く知られた、第二次世界大戦以前のオランダ近代文学史上、ムルタトゥリ以降の最大の作家。オランダ領東インド(現インドネシア)の植民地政庁の上級官吏を引退した父親と東インドに代々続く名家一族出身の母親との間に生まれる。1872年、一家で東インドに渡り、10歳から15歳までをバタヴィア(現ジャカルタ)で過ごす。1878年にハーグに戻り、エミール・ゾラやウィーダを読んで影響を受けるとともに創作活動をはじめ、詩作で文壇にデビュー、本格的な執筆活動を開始した。散文第一作目である『エリーネ・フェーレ(Eline Vere)』(1889年)は、主人公エリーネを中心とした人間模様を描いた作品で、連載当時から大評判となった。1891年、4歳年下の従妹エリーサベトと結婚。夫妻はイタリア、フランス、ドイツ、スペイン、東インド、英国、北アフリカなど、旅続きの生活を過ごした。1897年、31歳でオランダ王家勲章を受勲(オフィシエ)。日本から帰国後の1923年6月9日、60歳の誕生祝いの折りに二度目のオランダ王家勲章受勲(騎士)。同年7月16日逝去
國森由美子[クニモリユミコ]
東京生まれ。桐朋学園大学音楽学部を卒業後、オランダ政府奨学生として渡蘭、王立ハーグ音楽院およびベルギー王立ブリュッセル音楽院にて学び、演奏家ディプロマを取得して卒業。以後、長年に渡りライデンに在住し、音楽活動、日本のメディア向けの記事執筆、オランダ語翻訳・通訳、日本文化関連のレクチャー、ワークショップなどを行っている。ライデン日本博物館シーボルトハウス公認ガイド(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
to boy
本の蟲
Tsuneyuki Hiroi
荏苒 byn
-
- 電子書籍
- ウイニングポスト8 2015 最強配合…
-
- 和書
- 研究社露和辞典(携帯版)