出版社内容情報
グローバル経済を〈資本論〉で読み解く
内容説明
グローバル資本主義の構造と狂気に迫る「21世紀の資本論」
目次
序章 マルクスだったら、グローバル資本主義の行方をいかに分析するか?
第1章 「運動する価値」としての資本の視覚化
第2章 著作としての『資本論』について
第3章 価値、その表象としての貨幣
第4章 反価値、あるいは減価の理論
第5章 価値なき価格
第6章 技術の問題圏―あるいはマルクス歴史理論再考
第7章 価値の空間と時間
第8章 多様な価値体制の産出
第9章 経済的理性の狂気
終章 資本の狂気に破壊されないために…
著者等紹介
ハーヴェイ,デヴィッド[ハーヴェイ,デヴィッド] [Harvey,David]
ジョンズ・ホプキンス大学教授、オックスフォード大学教授を経て、現在、ニューヨーク市立大学特別教授。専攻:経済地理学。現在、最も世界で論文が引用されることが多い地理学者。2005年韓国で首都機能移転のため新たな都市“世宗”が建設されることになったが、その都市デザイン選定の審査委員会の共同議長を務めている。現在、ギリシア、スペインから、中南米諸国、中東、中国や韓国まで、文字通り世界を飛び回り、研究・講演活動などを行なっている
大屋定晴[オオヤサダハル]
北海学園大学経済学部教員。専攻:社会経済学、グローバリゼーション研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
101
はじめての著者ですが、かなり経済地理学の分野では有名な方のようです。マルクスの「資本論」をうまく世界経済の分析に使用している気がしました。そんなに分厚い本ではないのですが資本論を読んでいないと時間がかかるように思います。私も一読した限りでは細かいところまで理解したとは言えないのでしょう。ただ全体像はおぼろげながら理解できました。再読要です。2020/06/06
koji
19
経済的理性の狂気とは、ジャック・デリダの言葉。即ち、ある先住民の「富が絶頂になると破壊的儀式に及ぶ行為」が、啓蒙主義的理性からみると不合理な狂気の行為と映ることを言います。それに倣って著者は、2008年の金融危機は、中国の大規模建設事業による国内の過剰な資本・労働力の吸収と負債金融の急拡大が、次々に「悪無限」として伝播し人々の日常生活に変化をもたらし、3つの疎外(産業空洞化、文化的アイデンティティの動揺、略奪的金融)による狂気・怒りを誘発したと唱えます。「資本論」から、ここ迄読み解いた著者に感嘆しました2020/08/30
roughfractus02
8
資本主義には2つの矛盾があり、両者共に価値概念から導出される。一つは価値の運動としての資本とその表象としての貨幣の矛盾であり、資本の運動は地理的差異と格差を地球大に広げるが、その限界に直面すると貨幣側の恐慌を引き起こす矛盾したシステムである。さらに反価値が価値に内在するという矛盾もある。代表的なのは労働者であり、価値を生むはずの彼らには生産場面でストライキを起こし、再生産する消費者としては不買運動をする可能性が内包される。著者は、これら矛盾を偶然や例外として処理する新自由主義的な経済的理性を、狂気と呼ぶ。2020/05/10
K.H.
5
ダメだ、経済学はわたしに向いてないと痛感した。真っ当に勉強してきた人にとっては、本書はそれほど難しくないのかもしれない。でも、本文を最初から最後まで目を通してなお、さらには訳者に解説してもらってなお、マルクスの学説も含めてほとんど理解できなかった。ただの眼球の運動。いちおう、部分的には面白いと思えるところもあったけど。さて、どこから勉強すればいいのやら。2022/05/02
34
5
非常に推奨。2020/02/23