内容説明
政治や地方自治体、ボランティアなどの「新しい公共性」…。全分野でいまや必須のキーワードとなった「公共」という概念。本書は、この「公共性」という言葉で語られる「publicであること」、すなわち「公共的なるもの(“the public”)」について、社会哲学的に解明することを目的としている。まず、その概念を理論・思想的に検討した上で、次に、戦後日本における「公共的なるもの」の変遷を整理、概観してその意味を明らかにする。ハンナ・アーレントを軸に日本の「公共性」という言葉とその概念の歴史を初めて本格的にまとめ、体系化した画期的な研究。思想・社会科学のみならず政治・行政関係など必読の一冊。
目次
多様なる言葉「公共」をめぐって―状況の確認と本書の位置づけ
第1部 “公共的なるもの”の正体を知る―社会的存在論小史(何である(べきな)のか?―認識論/当為論
なぜ求められてあるのか?―存在論
いかに機能するのか?―歴史=物語)
第2部 “公共的なるもの”の思想的展開―アーレントから、もう一度「公共」を考える(複数性―唯一無二性と他者性;空間性―publicとcommon;公共性は身体を持ち得るか?―試論的考察)
第3部 戦後日本における歴史的展開―表象の歴史(公共性の時代―アーレント以前、一九六〇~一九七〇年代まで;公共圏と公共空間―アーレントとの共振、一九九〇年代後半以降1;例外状態における“公共的なるもの”―アーレントの受容、一九九〇年代後半以降2 ほか)
“公共的なるもの”の歴史=物語の“後”で―過去と未来の間
著者等紹介
権安理[ゴンアンリ]
立教大学コミュニティ福祉学部助教、博士(学術)。早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程単位取得後退学(地球社会論専攻社会哲学専修)。早稲田大学社会科学部助手、早稲田大学・千葉大学ほか非常勤講師を経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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