スターリン批判 1953~56年―一人の独裁者の死が、いかに20世紀世界を揺り動かしたか

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  • サイズ B6判/ページ数 475p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784861825736
  • NDC分類 238.07
  • Cコード C0022

出版社内容情報



和田春樹[ワダハルキ]

内容説明

本書は、20世紀に誕生し、20世紀に消滅してしまった、ソ連国家社会主義体制の決定的な転換点となった5年間を描き出す試みです。1953年、「人類の理想を体現した国家」と称した国で、「神」とも崇められた独裁者スターリンが死ぬ。「神」に従ってきたソ連共産党の政治局員たちは、彼が行なった“悪夢”のような大粛清の全貌を知り、どのような葛藤のすえに事実を公表し、スターリンへの批判を行なったのか?そして、古参党員や歴史家をはじめとした多くの人々が、いかに社会を変革していくべきかを、悩み、模索しはじめたのか?さらに東欧諸国では、いかに市民が民主化を求めて立ち上がったのか?しかし、その“希望”は無惨に圧殺されていく…。人間とは、いかなる社会にあっても、国家の統制に抗して、信念にもとづき不正義を正す努力をせずにはおれない、という実例を見ることができるでしょう。1953年から56年のソ連という極限状況で、変革を求める人々の姿は、普遍的な感動を与えてくれます。

目次

序章 スターリンの国ソ連―栄光と危機
第1章 スターリンの死
第2章 ベリヤの新路線とその終末
第3章 批判勢力の登場
第4章 マレンコフ=フルシチョフ政権の政策
第5章 マレンコフ=フルシチョフ政権の終わり
第6章 フルシチョフ派の転換
第7章 二〇回党大会―「スターリン個人崇拝の批判」
第8章 大会後の闘い
第9章 反動
エピローグ ある歴史家の日記、ある歴史家グループの抵抗

著者等紹介

和田春樹[ワダハルキ]
1938年、大阪生まれ。東京大学文学部卒業。東京大学社会科学研究所教授、所長を経て、東京大学名誉教授、東北大学東北アジア研究センター・フェロー。専攻は、ロシア・ソ連史、現代朝鮮研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

BLACK無糖好き

11
スターリン死後、ソ連内部でスターリンに対する批判がどのように湧き上がったのか、本書では歴史的経緯を丹念に辿っている。著者は批判勢力として以下の三つを挙げている。①収容所の中の囚人、②古参ボリシェヴィキ、③『歴史の諸問題』誌の歴史家。特に②のペトロフスキーの果たした役割は大きい。フルシチョフ他党幹部らの「個人崇拝」に関する喧々諤々のやり取り、党大会(秘密報告)後の世界に与えた様々な影響等も詳説。単に独裁者が死んで雪解けで、という単純な話では全くない、とにかく20世紀にはとんでもない人間がいたものだ。 2016/08/12

Toska

7
現代ロシアも遠からずこの歴史的体験に学ぶ羽目になるのでは、という気がするので再読。政治家の思惑のみならず、古参ボリシェヴィキの復権運動や政治犯の暴動、歴史家たちの奮闘、あるいは他の東側諸国の動向といった様々な背景についても詳細に語られ、視野が広い。欲を言うなら、フルシチョフの覇権と共に終息した「批判」が以後のソヴィエト体制にどのような影響を残したのか、もっと詳しく論じてほしかった。2022/10/06

綾野理瀬(Ayano Lise)

6
読みやすい本。フルシチョフは当然として、モロトフ、マレンコフ、ベリヤあたりは知っていた方が取っつきやすい。巻末に簡単な用語集もあるので、興味があれば読了できる。和田氏の議論の柱は、スターリン批判を導いたのは、三つの批判勢力(古参ボリシェヴィキ、収容所の囚人たち、『歴史の諸問題』誌の歴史家たち)の努力であったというもので、これは従来の仮説(1977年の和田論文)の、新しい史料に基づく再検証である。そして、幹部会の中ではミコヤンが重要な役割を果たしていく。東欧や中国のスターリン批判の受け止め方は興味深い。2016/12/19

しんこい

4
スターリン批判そのものでなく、スターリンの死後、その批判がどう起こり展開したかを論じる本。それにしても死んだ時も中々みなさん恐怖しているし、否定するのも難しいのが、段々と個人崇拝否定になって、でもしばらくは疑心暗鬼ですね。毛、金と周囲の国も同じような顛末をなぞったのも歴史の味噌か2016/09/19

ポルポ・ウィズ・バナナ

2
「社会主義を資本主義と比較するのは間違えている。奴隷制と比較すべきなのだ」無関心な人々を恐れよ---彼らは殺しも裏切りもしない。だが、彼らの沈黙の同意があればこそ、地上には裏切りと殺戮が存在するのだ。(ブルーノヤセンスキー「無関心なる人々の共謀」)2017/04/28

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