内容説明
経済と私たちの関係は、歴史的な転換期を迎えている―欧州を代表する経済学者が経済と人類の歴史と未来を問い直す、世界的ベストセラー第2弾!
目次
第1章 経済にとって人間の幸せとは?
第2章 失われる“労働”の魅力
第3章 アメリカン・ウェイ・オブ・ライフの崩壊―「平等モデル」の瓦解と帝国の衰退
第4章 台頭する新興国は幸福になったのか?
第5章 グローバリゼーションは幸福をもたらしたか?
第6章 技術革新は人間を進化させるか?―デジタル社会とダーウィニズム
第7章 21世紀世界の幸福とは?
おわりに “ホモ・エコノミクス”による人類の未来は?
著者等紹介
コーエン,ダニエル[コーエン,ダニエル] [Cohen,Daniel]
1953年生まれ。フランスを代表する経済学者。パリ第1大学(パンテオン・ソルボンヌ)、および、パリ高等師範学校(エコール・ノルマル・シュペリウール)の経済学教授を兼任する。専門は、国家債務と金融経済史。数理経済計画予測研究センター(CEPREMAP)所長を経て、パリ経済学校(EEP)副学長も務めている。現在、オランド仏大統領のアドバイザーであり、内閣の経済諮問委員会(CAE)委員も務め、フランス政府の経済政策に深く関わっている
林昌宏[ハヤシマサヒロ]
1965年、愛知県生まれ。立命館大学経済学部経済学科卒。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
5 よういち
95
経済で人は幸せになれるか?◆物質的に豊かな国では、"協力"よりも"競争"が優先し、幸せを実感しにくい。人が幸せを感じるには外在的財(地位や富)と内在的財(愛、生きがい)が必要だが、内在的財は軽視されがち。◆中国はこの30年で3億人が貧困から脱したと言われるが、幸福感の変化はない。都市部での収入は3倍以上あるが連帯意識が低く幸福度も低い。男子の出生比率が女子に対して1.10~1.11になると犯罪率が3%増すらしいが、この30年で中国のそれは1.07から1.22に増加。◆経済だけでは幸せにはなれないという結論2019/11/14
壱萬参仟縁
33
2012年初出。フライは、人が他者と比較するときに作動するメカニズムを理解する際の、非常に便利な分類法を提示。外在的な財(社会的地位や富)と内在的な財(愛、人生に目標をもつ気持ちなど他者の愛情と関係する移ろいやすい財)の区分(022頁)。ベッカーは、名著『家族論』で結婚を分析。離婚はゼロ・サム・ゲームに近い。見捨てられた側は、幸福をめぐる闘いの敗者(030頁)。パットナムは、社会関係資本を二分。橋渡し型資本(人を結合)は他者との出会いを導く。2015/12/28
色々甚平
8
原題「ホモ・エコノミクス」。著者は「21世紀の資本」で有名なピケティの師匠さん。経済学の話で難しそうに見えるのだが、文章がうまいためか詰まることなく楽しんで読めるものだった。アメリカを対象にして書かれているが、共同体意識の衰退や、労働意識の低下(答える側が正直になっただけ?)、あのチャンネルが恐ろしいほどあるアメリカのTV番組もニュースが減り、娯楽情報番組が主流になっているという。日本が後追いしているような状態で寒気がしてくる内容になっている。何度読み返しても発見のありそうな本。2018/04/26
田中峰和
5
ピケティが膨大なデータの分析から格差を論じたのに対して、師匠にあたるコーエンは経済と人間の幸せの関係を多岐にわたり論じている。平等モデルの瓦解によって衰退したローマ帝国。かつての帝国ローマと現代の世界帝国アメリカの類似性を論じた部分が面白い。共通点とはエリート国家がもつある種の自国中心主義。ローマ帝国はゲルマン人を要職につけ衰退したが、アメリカでは大量の留学生が成果を出し先端科学をけん引する。国内の優秀な若者には法律や金融の職業に魅力的なのだ。ローマ同様米国でも人材の空洞化が進み、衰退が進むのだろうか。2016/01/03
Tohru Soma
5
幸せになるために必要な2つの財。外在的な財・内在的な財。外在的な財は社会的地位や富。内在的な財は、愛や人生に目標をもつ気持ち。 物質的繁栄がもたらす恩恵は大きいけれど、恩恵は忘れ去られてしまい、幸福度は上がらない。人間って難しいなあ。欲望がどんどん大きくなってしまうんだろうな。2015/12/31