内容説明
火事による一家の死、孤児としての過酷な少女時代、ようやく見つけた自分の居場所、長いあいだ想いつづけた相手との奇跡的な再会、そしてその結末…。すべてを知ったとき、少女モリーが老婦人ヴィヴィアンのために取った行動とは―。91歳の老婦人が、17歳の不良少女に語った、あまりにも数奇な人生の物語。全米一〇〇万部突破の大ベストセラー小説!
著者等紹介
クライン,クリスティナ・ベイカー[クライン,クリスティナベイカー] [Kline,Christina Baker]
小説家・ノンフィクション作家・編集者。イングランド、テネシー州、メイン州で子ども時代を送り、その後はミネソタ州、夫の育ったノースダコタ州で、多くの時間をすごす。イェール大学、ケンブリッジ大学を卒業し、ヴァージニア大学では小説創作コースの特別研究員をつとめる。フォーダム大学やイェール大学などで創作や文学を教え、最近ではジェラルディン・R・ドッジ財団から奨励金を得ている。家族とともにニュージャージー州のモントクレア在住
田栗美奈子[タグリミナコ]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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どんぐり
78
アイルランドから移民として一家でアメリカに渡り、火事で家族を失った孤児ヴィヴィアンの人生の軌跡(trajectory)。1929年、ニューヨークから「孤児列車」に乗り、シカゴ、ミネソタ州ミネアポリスに降り立った孤児たち。彼らの前に、「東部から、家のない子どもたちが、10月18日金曜日、ミルウォーキー鉄道の駅に到着します。引き取りは午前10時から行います。子どもたちはさまざまな年齢で、男の子も女の子もいます。身よりもなく、この世に放りだされたのです」と集まってきた地元民。そこで里親が決まったヴィヴィアンを待2016/07/28
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
32
アメリカ1800年代、身寄りのない子供達を乗せて中西部などに連れて行き、里親希望の人達に見せて引き取ってもらうという「孤児列車」があった。この物語は孤児列車に乗って艱難辛苦を舐めたニーヴと現在親の事情で里親の元を転々としている17才モリーとの二本立て。「孤児列車」の子供達は実際は農業や家事、職人としての働き手として引き取られる事が多く、悲惨な人生が待っていた。ニーヴもしかり。モリーの現在はそれ程悲惨ではないが、子供に無理解な大人を親としなくてはいけない絶望的な孤独が付きまう。2016/08/03
ちえ
28
当時、新聞の書評欄で気になり読んだ本。アメリカの大恐慌時代、孤児になった子供たちが沢山いた。その子供たちを集め大陸を横断する「孤児列車」が仕立てられ、途中途中の、子供たちは駅で列車を待っている人たちの前に並び、選ばれれば養子(多くは働き手)としてその家に引き取られた。そんなことがあったのか、と驚いたたともに、この知られていなかった事実を小説の形で多くの人に知られることの大切さを感じた本だった。同様に、過去あって知られていない事実、は世界のあちこち、たくさんあるのだろうと思う。2017/04/15
ソングライン
22
1929年のニューヨーク、父と兄弟を火事で亡くし、精神病で入院した母と別れたヴィヴィアンは、里親を探す孤児列車に乗せられます。2011年、里親のところを転々とするモリーが奉仕活動のため訪れた家は、ヴィヴィアンが余生を過ごす邸宅でした。同じ境遇の二人は、次第に共感し合い、ヴィヴィアンの偏見と苦労に挫けぬ清い魂と、善悪ではどうにもならない悲しい運命を知ったモリーは今迄の孤独で頑なな生き方を改めようと決意します。孤児列車の乗せられた子供たちの圧倒的な孤独に心が震え、ラストシーンの再会に心癒される物語でした。2019/03/18
かもめ通信
20
1854年~1929年にかけてアメリカ東海岸の都市から中西部へ、養子縁組のために20万人以上の孤児を輸送したという「孤児列車」を題材に、かつてのこの列車に乗り込んだ91歳の女性ヴィヴィアンと里親の元で暮らす17歳の現代っ子モリーの人生がそれぞれの視点で語られていく。エンディングはいささか都合良すぎて拍子抜けするところもあるが、それでも物語の裏に秘められている語られることのない、かつての、そして現代の、沢山の子どもたちの困難な人生に思いをはせて、こみ上げてくるものがある。2015/08/16