内容説明
幻視者にも似た独自の視線から人と世界を見詰める賢治の文学。その核心をなす心象宇宙を精細な作品分析と伝記的検証から重層的に解明する。
目次
宮沢賢治の「心象スケッチ」と小林秀雄の「蛍童話」
賢治の「最初の歌」について
賢治と法華経
賢治の家出上京まで―日付不明一書簡についての仮説
賢治の「修羅」について
『心象スケッチ・春と修羅』の「序」について―青年と老人との対話
賢治の「絶筆」について
宮沢賢治と中原中也―言葉のヴァルール
宮沢賢治を、私はこのように考えます…
著者等紹介
栗谷川虹[クリヤガワコウ]
昭和12年、長野県生まれ。早稲田大学文学部中退。著述業。主として評伝、史伝を執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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takao
2
ふむ2021/12/16
ゐ氏/きたの
0
そういえば賢治生誕120周年か、今年。難解な、けれども心を惹かれる『春と修羅』について、分かったことが多く収穫の多い本で、とても面白かった。賢治は、内面に渦巻く心情を、紙に「スケッチ」することによって、心情の整理を無意識に行っていたと言える。そのことは、『春と修羅』の中において「ひとりの修羅なのだ」「ほんたうにおれがみえるのか」と孤独や葛藤に苛まれる賢治の自己が、『春と修羅』全体の総括ともなる「春と修羅 序」によると「わたくしという現象」という整理された形で認識されていることから分かる。2016/08/24