内容説明
高校の政経や大学の法学概論で習う「近代法」の理念的骨格を作った、ルソーの「一般意志論」、ベッカリーアの「人民の合意に基づく罪刑法定主義論」、カントの「公民的秩序論」という原点に遡りながら学ぶ、私たちの社会を根底から規定する“法”の原点。
目次
第1部 なぜ、社会契約を知らなければいけないのか?―ルソー『社会契約論』を読む(私たちの「社会」をつくるものとは何か?―“社会契約”という発想;とっても便利な「一般意志」!―秩序と自由は両立可能か?)
第2部 罪と罰、そして刑法の根本を知る―ベッカリーア『犯罪と刑罰』を読む(社会契約から刑法へ;思想としての刑法)
第3部 法と自由の根本を知るために―カント「啓蒙とは何か」「世界公民的見地における一般史の構想」「理想と実践」を読む(世界史のなかで“自由”を考えてみる!;現実の世界では「自由」と「法」は両立するのか?)
著者等紹介
仲正昌樹[ナカマサマサキ]
1963年広島生まれ。東京大学総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了(学術博士)。現在、金沢大学法学類教授。専門は、西洋古典研究、法哲学、政治思想史。分かりやすく古典を読み解くことで定評がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえ
6
「ベンサムは、最大多数の最大幸福に反する逸脱行動をしようとする人に、「賞罰」を与えることで、そうした行動を抑制させると共に、欲望の方向性を抑制させる…ベッカーリアやベンサムは、刑法を通じて人々の情念をコントロールすることが、「最大多数の最大幸福」に繋がると考えている…批判的な見方をすれば、宗教と法の分離を提唱しながらも、人々の内面の情念を人為的にコントロールする、徹底した管理権力を志向している、ということ…ベッカーリアは、死刑廃止論の先駆けとしても知られ…罪刑法定主義と死刑廃止論が、彼の法思想の二大特徴」2023/01/25
ステビア
2
大正義仲正先生&作品社さん。あとがきは必読だぞ!2013/12/14
toiwata
1
知識の欠落がわかる一冊。紋切り型に言い切られてしまう命題も歴史的経緯があり、実際には出題者が正しい答えを持っている試験とは性質が異なると判断することが妥当なのだろう。原文を読むことの難しさと解放性。<「奴隷状態」が先ずあって、その状態の中で生まれ育った人が、奴隷らしくなる、ということです。> p.0302015/11/16
ksk
0
多産な仲正昌樹の法哲学の講義本。仲正氏の著書であるから法哲学の本といっても法学の要素よりも思想の要素が強い。ルソー、ベッカリーア、カントの法思想に関する入門といったところである。2015/09/21
代理
0
「最大多数の最大幸福」ってベンサムより先に言ってた人がいたなんて知らなかった。原文に遡って丹念にテクストを読みほどいた講義。カントすげえ。2015/03/14