コスモポリタニズム―自由と変革の地理学

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  • サイズ B6判/ページ数 609p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784861824463
  • NDC分類 290.1
  • Cコード C0033

内容説明

地理学を欠いた“自由と解放”は、“暴力と抑圧”に転化する。グローバル資本主義に抗する“コスモポリタニズム”を再構築する“地理学的批判理論”の誕生。

目次

プロローグ 自由のレトリックと地理学の悪魔
第1部 普遍的価値のパラドクス(カントの人間学と地理学;自由主義的コスモポリタニズムに対するポストコロニアル批判;新自由主義的ユートピアニズムのフラットな世界;新しいコスモポリタンたち;地理学的悪の陳腐さ)
第2部 地理学的知識の政治学(地理学的理性の狡智;時空間性の弁証法と世界;場所、地域、領土;環境とは何か)
エピローグ 変革の地理学理論に向けて
日本語版解説 ハーヴェイによる地理学的批判理論の構築―グローバル資本主義に抗するコスモポリタニズムのために(大屋定晴)

著者等紹介

ハーヴェイ,デヴィッド[ハーヴェイ,デヴィッド] [Harvey,David]
1935年、イギリス生まれ。ケンブリッジ大学より博士号取得。ジョンズ・ホプキンス大学教授、オックスフォード大学教授を経て、現在、ニューヨーク市立大学教授。専攻:経済地理学。現在、論文が引用されることが、世界で最も多い地理学者である。世界を飛び回り、研究・講演活動などを行なっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さきん

12
地理的要因の重要性を論じつつも、地理的要因のみで事を正当化してはならない。もし、そうすれば、ナショナリズムが暴走する。また、逆に地理的要因を無視すれば、自由という価値観が暴走し、一面的な見方に過ぎない自由という考えについていけない共同体、社会に対して抑圧してしまうことがおきてしまう。2016/06/26

一郎二郎

3
普遍的真理は世界を均一空間とみなす。そこでは外部を未熟として切り捨てており、悪として抹消する事もある。単純化は個人を点として想定する事に極まるが、自然などあらゆる概念が単純化される。グローバリゼーションや国家という概念も階級的世界の複雑さを隠し、我々を思考停止に持ち込む。実際は、多くのものが関係的共存在的だ。我々は多要素からなる多面体だ。経済学に空間性を投げ入れると全理論が崩壊する。我々が生きる当たり前の複雑性は武器だ。しかし資本が生み出した場所や環境や時空間性を取り返す実践がないと世界は変わらない。 2023/11/15

Rusty

3
ハーヴェイの一時点での集大成と言えるであろう作品。西欧世界による収奪を看過しているとのジャレド・ダイアモンド批判や「自然」の定義の広範さからなる問題を論じた第9章だけでも、いろんな人に読んで欲しい。社会・生態の地理的差異の描写はともすれば権力に利用されやすい(まさに『銃・病原菌・鉄』が賛美されているように)。我々民衆は誤ったイメージに眩惑されることなく冷静に、批判的に吟味した上で正しい理解を持ち、他者と向き合っていかなくてはならない。2014/06/08

今日子

1
「ローカルなもの」と「普遍的なもの」の対立があちこちで見られる現代,両者のバランスを取るためには絶対的・相対的・関係的次元によって地理を捉え直すことが不可欠であるとハーヴェイは主張する。時空間の分析を踏まえたうえで,上から押し付けられた新自由主義ではなく当事者たちの連隊によって成る,下からのグローバライゼーションによってのみ搾取と不平等化を伴わない真のコスモポリタニズムを達成できるとし,それを可能にするような変革の地理学の達成を目指している。2018/08/08

roughfractus02

1
フラット化、グローバル化と言う時の空間概念は曖昧かつ一面的に用いられ、帝国主義的政治に吸収されやすい。そこで著者は、カントのコスモポリタニズムとルフェーブルの空間概念を検討し、空間を抽象的「空間」と具体的「場所」、柔軟な自然的「環境」に区別して各々資本の蓄積と流通過程を見組み入れ、多様で矛盾を含む弁証法的関係として空間を捉え直す。もちろん誰もが一度は夢想する「解放の空間」もこの緊張関係が働くはずだ。これら絶対的・相対的・関係的次元は著者のマルクス寄りの語彙にもかかわらずトポロジカルな空間を思考可能にする。2017/02/14

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