内容説明
倫理・道徳の哲学的基盤。自由な意志と道徳性を規範的に結合し、道徳法則の存在根拠を人間理性に基礎づけた近代道徳哲学の原典。新訳決定版。付:『倫理の形而上学の基礎づけ』。
目次
第1部 純粋実践理論の原理論(純粋実践理性の分析論(純粋実践理性の原則について;純粋実践理性の対象の概念について;純粋実践理性の動機について)
純粋実践理性の弁証論(純粋実践理性一般の弁証論について;最高善の概念を規定するさいの純粋理性の弁証論について))
第2部 純粋実践理性の方法論(通常の倫理的理性認識から哲学的な倫理的理性認識への移行;大衆的な倫理哲学から倫理の形而上学への移行;倫理の形而上学から純粋実践理性の批判への移行)
著者等紹介
熊野純彦[クマノスミヒコ]
1958年、神奈川県生まれ。1981年、東京大学文学部卒業。現在、東京大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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カントは少なくともデカルト以来よく知られていた哲学史上の難問に(それを最高のものに仕立て上げたうえで)最高の解答を寄せている。それは心身問題とも呼ばれるもので、人間は物質的な存在者として決定論的な自然法則に服すると同時に、他方では自由な存在者として自発的な能力を行使する、この矛盾をどう説明するかという問題だ。カントの解決を一言で言うと、自然を規定するものの性質とわれわれ自身の自発性を同一視するというものだった。このアナロジーの帰結には受け入れがたさも含まれているとはいえ、並ぶものなき強力な一太刀と言える。2018/03/01
井蛙
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『第二批判』の議論は『第一批判』の道程を逆さまにした形で進んでいく。そして実践理性に対する理論理性の優位が説かれると共に、神、魂の不死性、自由が要請されることになる。しかしこの調停によって問題は解決したのか?特に魂の不死性という要請によってカント的な道徳行為の主体は永遠に到来することのない無時間的な地位に留まり続けるように思われる。第一批判と第二批判の埋めがたい断絶を『判断力批判』は架橋してくれるのだろうか?2017/07/30
おなかム
0
★★★★★2013/07/21