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内容説明
小説の四分の三があなたたちのために書かれている―ルーマニア・ポストモダンの旗手カルタレスクが数々の短篇・掌篇・断章で展開する“女性”賛歌。
著者等紹介
カルタレスク,ミルチャ[カルタレスク,ミルチャ] [C〓rt〓rescu,Mircea]
1956‐。ブカレスト生まれ。チャウシェスク政権時代に、小学校高学年から大学までの時期を過ごす。ブカレスト大学文学部卒業後、小学校のルーマニア語教師や編集者、大学教員として働きつつ、創作・評論活動を展開。長編叙事詩『レヴァント』(1990)で作家連盟賞受賞
住谷春也[スミヤハルヤ]
1931年群馬県生まれ。東京大学文学部卒業。出版社勤務を経て、ルーマニアに留学し、ブカレスト大学文学部博士課程修了。以後、ルーマニア文学の研究・翻訳に専念。2004年、ルーマニア文化功労コマンドール勲章受章。2007年、ナサウド市名誉市民(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ポテチ
20
「女性経験が少ない作家は女性描写にくどく、逆の場合は聞き分けのいい女性をさらっと描写する」とあり、ふむふむと思う。 著者は前者のようです。容姿として美しい女性も幻滅した女性もどちらも記憶に残り、多大な妄想も経て、成熟すると親密を知り、幸福を知る。全体を通すと良心的な女性讃歌に思えました。2021/10/05
きゅー
18
香水の匂いによってもたらされる既視感、秘密警察に入った文学少女、ユダヤ人の少女の物語など女性にまつわるくさぐさを「ぼく」は語る。ポストモダニズムの騎手ということで、特有の軽さは感じられるけれど、どこかに飛んでいってしまいそうな軽薄さはない。「ぼく」らが女性を愛する理由、とあるとおり、描かれている真の対象は女性ではなく、自分自身のことだ。彼の女性遍歴や人間について、或いは女性性の象徴的な意味合いについてなど筆致は軽やかながら、読み応えがある。「東欧の想像力」の中では特におすすめしたい一冊。2015/08/13
かわうそ
12
10ページ前後の掌編が多く語り口も滑らかで必ずしも明るい話ばかりではないけれど全体としては軽やかな印象。東欧史の暗い側面を感じさせる「ブラショフのナボコフ」、突然時代をさかのぼった「ザラザ」あたりが特に印象に残る。2016/08/14
rinakko
8
21章の断片、短篇やエッセイによる“女性”賛歌。…とのことだが、“女性原理について思索”し、“愛と死の大女神の周囲に神秘のカーテンを張り巡らすマニアックな傾向”のある作家によるためか、さらりとは読めないところがよかった。少しセピアな横顔のポートレイトを想像したくなるような1篇もあれば、親近感は欠かせません…という1篇、人生の混乱期の話、思い出と呼ぶにはあまりにも苦い体験…たぶんいつまで経っても苦いままの記憶について、などなどの変奏。ルーマニア王国末期の物語「ザラザ」も忘れがたい。2015/03/24
有沢翔治@文芸同人誌配布中
5
ルーマニアの現代作家、ミルチャ・カルタレスクのエッセイ集。サリンジャーなどの文学を、実存を、人生の意味を、短い断章とともに綴っている。しかしいずれの章にも女性を中心となっており、例えば「黒い少女」では高校時代の愛読書、サリンジャーとともに、その頃、神秘的な黒人少女と出会ったと語っている。https://shoji-arisawa.blog.jp/archives/51535571.html2024/11/19