内容説明
「肉体の演劇」とされるアングラは、「言語の演劇」でもあった。一次資料・作品分析によって、その身体の表象を捉え直す、新世代による挑戦。
目次
序章 アングラ演劇の文態―言語活動の展開と新たな劇言語の創出
第1章 偽物の肉体―唐十郎連作『ジョン・シルバー』
第2章 騙る身体―鈴木忠志『劇的なるものをめぐって・2』
第3章 我慢する身体―別役実『正午の伝説』
第4章 革命にひきさかれる身体―演劇センター68/71『翼を燃やす天使たちの舞踏』
終章 叛乱する言葉、偽りの肉体、運動する躰
著者等紹介
梅山いつき[ウメヤマイツキ]
1981年、新潟県生まれ。東京学芸大学卒業。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。2008年から2011年まで、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館の助手をつとめ、太田省吾展、第三エロチカ展等、現代演劇に関する企画展を手がけた。アングラ演劇のポスター。機関紙誌をめぐる研究や、野外演劇集団にスポットを当てたフィールドワークを展開している。研究活動以外にも、雑誌『シアターアーツ』の編集部員として演劇評論を執筆するほか、水族館劇場の制作もつとめている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mstr_kk
3
よく勉強されて書かれているなあと思いますが、第I章の唐十郎論の『ジョン・シルバー』の解釈は、かなり迂遠に感じられ、疑問が残ります。オリジナルの欠如とコピーの過剰についてであれば、もっと統一的な理論で簡潔に言えるはずであり、むしろその先、唐の「特権的肉体」と戯曲に描かれる身体との関わりをこそ論じてほしかったと思います。2014/11/06
ホッタタカシ
1
81年生まれの筆者が、リアルタイムで観ることのかなわなかった60年代アングラ演劇について、テキストと史料を読解しながら、その魅力を分析する。戦後演劇については、今後このような仕事が重用なことはまちがいない。演劇センター68/71の『翼を燃やす天使たちの舞踏』の公演詳細があきらかにされてありがたいのと、第三章の別役実論「我慢する身体」が、まったく意表を突くところからの解読で刺激を受けた。2013/12/01
terupoterupo
1
60年代演劇入門。表象文化論のお手本っぽい感じ。2012/11/26
日和下駄
0
読んでる間に、梅山いつきさん大学に来てた人やんけと思い出した。アングラ演劇を一般的に語られがちな身体ではなく、戯曲の言葉から研究した本。博士論文だったかな?を書籍化したものなのでちょっととっつきづらいが面白い。ただ、唐十郎の章は抽象的な話が多く少し浮いていた。やっぱ、唐十郎は難しいんですねと思った。ラカン的な。2015/12/09
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