内容説明
第二次大戦末期のドイツにもカミカゼ=『特攻隊』があった。その名は「エルベ特別攻撃隊」。歴史の空白を埋めるスクープ!生き証人たちの証言で綴る衝撃のノンフィクション。
目次
第1章 エルベの空へ
第2章 カミカゼの衝撃
第3章 ハヨ・ヘルマン
第4章 ヒトラーのためらい
第5章 シュテンダール
第6章 超空の悪魔
第7章 出撃
第8章 突撃
第9章 オーデル川
第10章 埋もれた六十年
インタビュー
著者等紹介
三浦耕喜[ミウラコウキ]
1970年、岐阜県生まれ。京都大学経済学部卒。中日新聞(東京新聞)入社後、前橋支局、渋川通信部から政治部へ。政治部では、官邸、国会、自民党、防衛庁(当時)、衆参憲法調査会などを担当。現在ベルリン特派員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Cheers!
15
日本の神風特攻隊と比較しながら読む。違う点。神風特攻隊は生きて帰る可能性ゼロを覚悟して飛び立つが、エルベ特別攻撃隊は万に一つの生の可能性を信じて飛び立つ。体当たり後パラシュートで脱出するつもりで。また、特攻隊を考案した大西滝次郎は戦後自らの死を以て旧部下の英霊とその遺族に謝すとし自決した。それに対しヘルマン大佐は戦後弁護士になりネオナチを弁護するなど活躍の場があり、当時を反省する感もなし。ヘルマン大佐が日本の神風特攻隊に感銘を受けていた点は悲しい。2018/01/25
かずぼう
13
十死零生の日本の特攻隊に比べれば、ドイツの特別攻撃隊は、パラシュートで脱出するなど、確率は低いが生き残る可能性はある、しかし機銃などの装備も全て外し、丸腰で向かっていくのは本当に怖いだろう。後半は戦後のドイツの立ち位置についての裏事情が書かれている。2021/05/26
ERNESTO
5
高空から連合国軍爆撃機に急降下体当たりを行う、エルベ特別攻撃隊の数少ない生き残りパイロットらから証言を得た、稀有なルポ。 20歳前後の青年達たち180機は、6ヶ所から時を同じくして飛び立った。 戦法の生みの親ハヨ=ヘルマン空軍大佐は、命令違反のピレウス港での11隻の敵艦爆破で名を上げ、夜間に燃え盛る都市を背景にして浮き上がる爆撃機を昼間戦闘機で撃破する、ビルデ=ザウ(猪)戦法を生み出したが、その性質上敵機襲来前に自軍機を上に上げておかなければならず、2013/07/30
poppen
5
体当たりという十死零生に限りなく近い攻撃手法を、日本は責任の所在を曖昧にすることによって、ドイツは歴史に埋もれるままにすることによって、どうにか直視しないようにしてきた。本書は埋もれていた歴史的事実を掘り起こすとともに、敗戦国の戦後処理の難しさを改めて感じさせる一冊だ。2009/06/08
Toska
4
体当たり攻撃に対するドイツ人の拒否反応の強さが印象に残った。そもそもヒトラー自身が作戦に及び腰、橋梁への特攻を聞かされて卒倒したパイロット、「神風」との比較に嫌悪感を示す生還者…日本人の持つ特攻イメージを見事なまでに相対化させてくれる。作戦そのものはひどく杜撰で、これが一介の大佐の熱意で決定した辺り、ドイツも末期症状を呈していたのだと言うしかない(奇しくも同日に実行された戦艦大和特攻が神大佐の後押しで実現したことを思い出す)。2021/08/25