内容説明
自由であるべく呪われた存在として人間を捉え、不条理な同時代を「嘔吐」しつつ生きた人間主義の思想家サルトル。構造主義の台頭とともに不当に捨てられたその精神の精髄を10篇の戯曲を通して捉え直す畢生のライフワーク。
目次
第1章 「蝿」
第2章 「出口なし」
第3章 「墓場なき死者」
第4章 「恭しき娼婦」
第5章 「汚れた手」
第6章 「悪魔と神」
第7章 「キーン」
第8章 「ネクラソフ」
第9章 「アルトナの幽閉者」
第10章 「トロイアの女たち」
著者等紹介
山縣煕[ヤマガタヒロシ]
1938年、和歌山県生まれ。64年、東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。73年、同博士課程退学。69~72年、フランス政府給費留学生としてパリ第10大学(ナンテール)留学。神戸大学文学部教授、同名誉教授を経て、大阪芸術大学文芸学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
83
サルトルの小説も哲学書もよくわからないが、芝居だけは見ても読んでも面白い。くねくねしたキモチ悪い文体や複雑怪奇な実存主義に延々付き合わされるよりも、言葉の戦いである舞台上で「自由の刑に処せられてる」人びとの展開するドラマに引き込まれてしまう。実際に公演を観たのは半分だが、『出口なし』や『汚れた手』などの嘘と不条理にまみれた世界で「自身が作り上げた自分」と闘い苦しむドラマは何度見ても鮮烈だ。読み通せなかったジュネやフローベール論よりも、劇作家としてここに取り上げられた10編より多くの作品を書いてほしかった。2021/11/13
takao
1
ふむ2024/11/27
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