内容説明
反証主義とは、科学哲学者にして社会思想家でもあったカール・ポパーの中心思想である。それは、実証主義とは根本的に異なるゆえに、多くの誤解にさらされてきた。本書はきわめて初歩的な段階から、ていねいにこの思想の体系的解説を試みるのみならず、カオス論のような近年の話題も扱い、この思想の今日的全貌を示そうとする。またウェーバーの価値相対主義(神々の闘争)を批判し、反証主義から可謬主義(批判的合理主義)への道筋も示している。付録のクーン論および新科学哲学者批判は、パラダイム論者に根底からの再考を迫るものである。科学哲学を超えてものごとを合理的に考えようとするすべての人々にとって必読の一書。
目次
第1章 とりあえず、反証主義を簡単に説明してみよう
第2章 反証可能性の意味するところ
第3章 経験的反証の構造
第4章 反証のすがた
第5章 データの処理と方法論的反証主義
第6章 理論選択の問題
第7章 実証と反証との比較
第8章 本質主義と道具主義との狭間で
第9章 反証主義から可謬主義へ
付録1 パラダイム論との比較のもとで
付録2 弁護か弁明か
著者等紹介
小河原誠[コガワラマコト]
1947年生まれ。東北大学大学院文学研究科博士課程満期退学。鹿児島大学法文学部教授を経て、北里大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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