内容説明
出生の秘密を知った美女丸は、将軍の子の幸せを信じず、父吉宗との対面を拒んだ。吉宗は美女丸登城を見合せ、葵新吾の名と諸国通行の自由を与える。晴れて無位無官の剣道修行者となった新吾は、秋葉権現で浜島庄兵衛という浪人と知り合うが、実はその男、東海道筋に知らぬ者のない大盗賊日本駄右衛門だった…。
著者等紹介
川口松太郎[カワグチマツタロウ]
明治32‐昭和60年(1899‐1985年)。小説家、劇作家、演出家。東京浅草生まれ。久保田万太郎に師事。講釈師悟道軒円玉のもとで江戸文芸と漢詩を学ぶ。大正12年、小山内薫の主宰する「劇と評論」に脚本『足袋』を発表。同年、直木三十五らと雑誌「苦楽」の編集にあたる。その後大衆作家を志し、昭和10年『鶴八鶴次郎』『明治一代女』などで第1回直木賞を受賞。芸道小説、時代小説、風俗小説に独自の話術をもって庶民的心情をとらえる。15年、劇団新生新派の主事となり、以後新派の育成に力を注ぎ、戦後は大映の重役として映画、演劇の制作にも活躍した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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シガー&シュガー
12
「葵新吾を見守れ」令が敷かれ渡った日本を供連れで旅する水戸黄門状態の新吾。両親との面会はすれ違いでなかなか叶わず、ゆく先々で事件に巻き込まれ、三番勝負は義賊・日本駄右衛門を相手に、四番勝負は鹿島の悪代官を相手に。人を切ることを深く反省したかと思うと己の正義感のままに悪人を切りに行ったり、将軍の息子でいたくないと言いながら身分の高さゆえに結婚を迫らない据え膳を食ったり、結局甘ったれてるような新吾サマですが、人間修行と剣術修行の成果が徐々に表れることを期待して次巻。ちなみに新吾はこの巻で少年から男に。2017/09/15