内容説明
大阪を愛し、大阪人に愛された名雑誌『大阪人』の人気連載全72回を徹底収録!文化財に指定された歴史的建築物から、街角に建つ小さく愛らしい建物まで。独自の視点で選んだ大阪の建築を、多くの写真とともに紹介。自分の目と足で確かめたレポートは具体的でわかりやすく、細部からその建築を読み解く視点は専門学芸員ならでは。
目次
高麗橋野村ビルディング
天六阪急ビル
大阪農林会館
岩出建設株式会社大阪本店
日〓邸(旧光写真館)
本願寺津村別院
ギャラリー再会
日本基督教団天満教会
一丸株式会社
大日本製薬大阪工場〔ほか〕
著者等紹介
酒井一光[サカイカズミツ]
1968年東京生まれ。東京理科大学卒業、東京大学大学院建築学専攻博士課程中退。1996年大阪市立博物館(当時)、2013年大阪歴史博物館主任学芸員。日本では数少ない建築を専門とする学芸員として、特に大阪の近現代建築などの調査・研究に精力的に取り組み、煉瓦やタイルなど、図面や模型だけではない、建築部材を用いた建築展示のあり方を探求した。2018年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kumako
14
一丸㈱、大阪市交通局庁舎、大阪屋はとても好みなのに解体されて現物を見られないのが残念。興味があるのが中村健法律事務所の部屋同士の仕切りが全面ガラスで明るく開放的な内装と、三ツ山石井歯科医院の上町台地を利用した北側入り口1階が南側入り口2階になっているところ。タイトルに“発掘”と謳っているだけあって有名なレトロビル以外を多く取り上げているのも楽しかったです。「寺院建築が好きな人は古刹におもむき、近代建築が好きな人は寺院には注目しない」という文章には分かる気がして笑えました。2021/08/13
アメヲトコ
8
2018年に若くして亡くなった著者の遺稿集の一冊で、2002年から08年まで72回にわたる『大阪人』への連載記事をまとめた、大阪の隠れた名建築「発掘」の書です。一見してさりげないような建築に驚くほど豊かな内部や細部が宿っていたりして、著者の見る目の確かさが光ります。しかしこの連載から十数年にしてすでに3分の1くらいが取り壊されてしまっていることは残念でなりません。その意味で今では貴重な記録にもなっています。2020/06/25