内容説明
失踪を繰り返す父、父を撮る息子。人間の「わからない心」を写真を通して見つめ続けた彷徨の軌跡。金川晋吾、待望の初写真集。
著者等紹介
金川晋吾[カナガワシンゴ]
1981年京都府生まれ。2006年神戸大学発達科学部人間発達科学科卒業。2010年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程修了。2015年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻博士後期課程修了。2010年第12回三木淳賞。『father』が初めての著書となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こうすけ
20
蒸発癖のある父親を撮った写真集。NHKでドキュメンタリー番組が作られていた。写真もいいが、中盤の日記を読むと、人を理解しようとすることのむなしさを感じさせられる。2021/11/28
チェアー
8
だめ親父と過ごす息子。どちらの気持ちも分かる。もうなんでもええわ、と言う父。ええかげんにしてえや、とうずくまる息子。とりわけ、父に引き寄せられる。自分とどこが違うんやろと。人間って、そうそうあっち側とこっち側みたいにきれいに分かれるわけやないで。自分の中のにはどっちもあるし、どっちにいくかは時間と運やな、運。2016/05/20
ありんこ
3
借金を重ねて、仕事も解雇されてしまう実の父親を被写体に写真を撮る金川さん。PCの画面が映っている一枚が好きです。とても現代的な写真ですね。バーバリーのコートも着こなしてしまうあたり、割とスタイルがいいのでは?日記を読むのが好きなので、息子さんの日記も興味深く読みました。お金を渡してしまうところ、親子って不思議ですね。2024/07/06
YukoNexus6
2
#読書フェス 「やっぱり生きていくのが面倒くさい」という蒸発癖のあるお父さんのつぶやきは、少しニュアンスをずらせば私にもズバリなので身に迫る。と同時に「ダメな人」に関わる人間の徒労感(たまたま父子なのだが)や「どうしようもなく腹が立ってくる」感じにも共感。写真集に含まれた日記部分、読んで思うところあちこちに飛びまわる思い。2016/07/26
くら
1
“わからない” 写真という、カメラを通して父を見続けることで、自分と父との間に距離を作ることが可能になっているのかもしれない。カメラは人と人とを近づけると勝手に思っていたけど(撮る撮られるの関係)こうやって遠ざけるためのものになる場合もあるんだなと思った。 “わからない”他人とどう関わりを持つか2023/11/14