内容説明
ちびたエンピツの山、古鉄の鎖、点火しないマッチ棒、杉板の本箱、すり減った砧、焦げた横木、ラムネ瓶の鉄型、朽ちた鉄箱、木のヘルメット…。誰にも価値を知られないでいるモノたちを見出す嬉しさ…。この道45年、時代を先取りしてきた著者のセンスを、お裾分け。
目次
01 素材(木のもの―古い木の味を慈しむ。;鉄のもの―鉄の愛好家。;紙のもの―古い紙を、追う。 ほか)
02 工芸(懐古の空気―ハイカラ。;ちっちゃい―ちっちゃい、は可愛い。;針と糸、そして布―手仕事の美。 ほか)
03 暮らしの形(やきもの―先祖のやきもので酒盛り。;容れもの―つい欲しくなる箱もの。;鍋・釜―大らかで温かい、台所。 ほか)
04 神さま、仏さま(ポピュラーな神仏)
著者等紹介
森田直[モリタタダシ]
昭和8年(1933年)、三重県津市生まれ。県立津高校卒業の後、東京の大学進学を目指し上京するが、健康を損ない断念。昭和45年、南青山に「古民藝もりた」を開店、今日に至る。青山という立地から、顧客層も骨董好きから、アパレル関係のデザイナー、茶道関係者、芸術家など幅広い。現代の暮らしに合う感覚のいいものを扱うことで知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kinkin
47
この本に紹介されているものはいわゆる骨董品ではなく、実際に生活で使われていたもの。素材別、工芸品別、暮らしで使われていたもの、そして神様・仏様。たとえば木の項では、大きな木で作られた作業台や椅子など、どれも生活で使われていただけあって使いこなされそれがとてもいい感じだ。今は使い捨てが当たり前となっている。だからここに出てくる長い年月を過ごしてきた物たちがまるで生き物のようにも感じる。なにより、値段が書かれていないのがいい。写真もステキだ。図書館本。✩✩✩✩✩2015/08/14
おゆ
15
装丁や文章量は雑誌かカタログの体、読むというよりは写真を眺めるための本。角がとれ木目が黒く浮きあがった鍋蓋、黒く堅く冷たい鉄が妙にぬくぬくと感じられる自在鉤、大福帳の反故を貼り継いで作られた重い暖簾。骨董や古美術と呼ぶには実用的で、美しいと言うよりは親しみ深く、少しの愉快と大きな郷愁を掻き立てるモノたち。肩肘張らない気安さは森田さんのコメントにも通じており、用途の不明なものには想像を膨らませ、こんな人がこんな使い方をしていたのではと楽しげに語ってくれる。カメラの向こうで付喪神も笑っていそうです。2018/06/23
織町
13
“かつての作り手や使い手に思いを馳せ、心の頼りとするモノを、なんと呼べば良いのでしょう”古民藝もりたを営む店主、森田さんの沢山のモノたち。素材、工芸、やきもの、神様、仏様。骨董屋さんというのは、昔と今を繋ぐ架け橋のような役目のお仕事なのだなぁ。日本や世界各国のモノ達が本書には掲載されているけど、私はやはり日本のモノが好きで、かつ、道具に惹かれるようです。円錐形の金魚鉢、寺子屋机、脚立、竹篭、お猪口、和箪笥、欄間。帳場の主人の落書きなんかものっていて、しかもそれがとてもユルくて温かみがありました。2015/08/24
Koki Miyachi
1
まえがきに、森田さんが扱う懐古的な香りのするモノについて書かれています。美術品でもなく、民具として括れるものでもなく、古民芸ということばがしっくりくる。。。そんな森田さんの価値観が溢れている本です。文字情報がとても少なく、写真などのビジュアルがとても見やすい本です。良いモノを入手するチャンスは平等にあって、あくまでも目利きの勝負!お店でモノを手に取って眺めていく、そんな擬似体験ができますよ。2024/08/01
UMIUMI
0
読んだ、というより目で楽しむ本。2017/04/10