内容説明
日本では古くから描かれてきた妖怪画。不安や畏れといった心の闇に根ざした妖怪画の歴史は、日本人の心性の歴史でもある。本書では文化が熟爛した江戸時代中期から、時代が揺らぎはじめる後期、そして激動期の幕末から明治初期に描かれてきた妖怪画を約150点収録。
目次
第1章 妖怪なんて怖くない(鳥山石燕―『画図百鬼夜行』ほか;北尾政美―『夭怪着到牒』;勝川春英―『異摩話武可誌』;葛飾北斎―『北斎漫画』)
第2章 絵師たちの百鬼繚乱(喜多川歌麿―「化物の夢」;葛飾北斎―「百物語お岩さん」ほか;歌川広重―「平清盛怪異を見る」ほか;伊藤若冲―「付喪神」;高井鴻山―『雨中妖怪図』ほか;歌川国貞―『七変化壱本足(芝居絵)』ほか
歌川国芳―『頼光公舘土蜘作妖怪図』ほか)
第3章 妖怪画の文明開化(月岡芳年―「新形三十六怪撰源頼光土蜘蛛ヲ切ル図」ほか;河鍋暁斎―『暁斎百鬼画壇』ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どろんこ
5
妖怪ブームのきっかけは、水木しげるの登場と高度経済成長、テレビ、オリンピックが重なったことが大きいという。当時は他にウルトラマンやゴジラなどの怪獣モノも次々と登場したが、彼らも根っこは妖怪的と言えるらしい。時代の変換のうねりと自己反省の投影としての“妖怪”が、国民に受け入れられて浸透していった。妖怪は時代の転換に必ず現れる、無意識世界の影なのかもしれない。2020/04/25
Tomozuki Kibe
3
肩の凝らないものも。 浮世絵師別hに分けた妖怪図鑑、というより妖怪をテーマにした浮世絵師の競演。鳥山石燕・北斎・歌麿・広重・若冲・国貞・国芳・芳年・圧巻は河鍋暁斎。水木ブームはテレビアニメにあってたから…てあるが、ではなぜ貸本屋漫画から週刊誌にコンバートできたのか。アニメ時代を予見してたのか?2023/05/20
Haru
2
鳥山石燕から河鍋暁斎まで。眺めているだけで楽しい、妖怪の画集です。石燕の絵に書かれている説明文と思わしき、さらさらと流れるように書かれた文字、読めないのが悔しいです。こういう文字をすらすら読めるようになりたいなぁと思いました。2017/11/14
rumi
2
やっぱり河鍋暁斎が好き。2012/12/23
紅独歩
2
江戸時代、キャラクターとしての妖怪が確立し、爆発的に増殖する。編者はそれを「ビッグバン」に喩えるが、むしろそのユニークさと多様性は「カンブリア爆発」を思わせる。いずれ劣らぬ名手の競演なのだが、石燕や暁斎という有名どころを少し削っても、北尾政美や勝川春英にページを割いて欲しかった。とはいえ、これだけの作品群を文庫で見られるのは素晴らしい!2012/04/21
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