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内容説明
19世紀に西欧を怒涛のごとく巻き込んだジャポニスム―その波頭こそ、江戸末期から明治にかけて出版された絵手本『北斎漫画』だった。描きも描いたり、葛飾北斎の「すべて」といって申し分のない主題、モチーフ、描法が詰まった、全15編、総ページ970、およそ4000カット。原本から自然描写をテーマ別に完全収録。
目次
第1章 鳥獣蟲魚
第2章 山川草木
第3章 波浪流水
第4章 天地造化
第5章 北斎漫画を読む
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
107
「北斎漫画」第2弾。山川草木、鳥獣虫魚、波浪流水(波)、天地造化(気象)の4部門。「波浪流水」での波へのこだわり方は尋常ではない。彼の眼には一波、一波の粒までが見えるのであろうか、海を波のかたまり、としてとらえたのは彼しかいないだろう。鳥獣には得意動物(クセ?)があるようであり、私見では犬猫はあまり可愛くないが、馬などは見事である。いずれも多かれ少なかれ人間的な風貌を挿入しており、全般に豪快な筆さばきと繊細な仕上げが相まって人間味あふれた=北斎らしい絵に仕上がっているのが分る。 2023/07/03
greenish 🌿
60
描きも描いたり!970頁、およそ4000画。葛飾北斎の全てが詰まった絵手本三部作。第2巻《森羅万象》 ---当時のベストセラーにして、200年にも及ぶロングセラー。第2巻は、鳥獣蟲魚・山川草木・波浪流水・天地造化の4章です。表紙の獏をはじめ愛嬌のある動物たち、四季を彩る繊細な花々と名勝地、真骨頂である波・浪、そして雨・霧・風・雪・月下など気象までもを描き尽くします。 さらりと描いているように見えて、この写実性・叙情性。北斎さん天晴れです! 風の一筋も描かず、人物だけで《風》を描ききった作品がお気に入り。2014/07/06
あきあかね
22
画狂人と呼ばれた葛飾北斎の技の凄さを垣間見ることができる一冊。本書では様々な鳥獣蟲魚、山川草木、各地の名所等まさに森羅万象が描かれる。うねり轟く波が砕け散る一瞬を永遠に切り取り、はらはらと舞い散る葉やたなびく衣服によって目に見えぬ風を眼前に現出させる。まだ交通網が発達していない当時、実際に北斎が旅で訪れた場所はわずかだったというが、無数の全国の名所が描かれている。北斎の想像力が飛翔し、まだ見ぬ地を描き出し、果ては龍や河童の姿まで描かれている。生涯、絵の奥義を希求し続けた北斎に描けないものは何一つなかった。2022/02/12
だいだい(橙)
19
すみだ北斎美術館に行き、ミュージアムショップで購入。帰りの電車と、立ち寄った行きつけのお店でパラパラと見た。この巻はたくさんの動物が描かれていて本当に楽しい。馬やヤギ、ネズミなど実在の動物はもちろん、鳳凰や竜といった空想上の動物がページを埋め尽くしている。「かまいたち」も描かれていて、くすっと笑える。海の生物も、同じように見えても違うよ、とちゃんと描き分ける。写真も少なく水族館も動物園もなかった当時、少ない資料で細部まで捉えているうえ、すごい迫力。後半は風景画。これも味がある。2020/08/27
しんしん
7
鳥獣や自然風景など、生き生きと躍動している。 観察もあれば想像もあり、絵描きとして創造している。 我々はその想像された世界へ惹き込まれていく。2016/05/22