感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
10
著者は歌誌「心の花」選者。本書は第43回迢空賞、第7回前川佐美雄賞の受賞作。やはり実力のある人の歌はいいな。ほかの歌集も読んでみたいと思った。「わが歌の細くなりゆく気配ありいのちかぼそくなるよりあはれ」「終戦の詔勅おぼろに開戦のニュースは確かにその朝聞けり」「ただ一人機銃掃射に被弾せし美少女は同級生熱海駅前」「不機嫌な夫と諍ふ余生あり恋女房でありしわたくし」「咲きはじめの花のおほきく見ゆること年々にして庭の白萩」2023/06/20
カツェ
2
優しい装幀に気づかなかったが、80歳近い歌人による、迢空賞受賞の歌集だった。素直で凝りすぎない言葉の流れはときにとてもフレッシュ。 “一番つまらない椿が生き残る「台所の前のは伐らないで頂戴」” “とまりなほして鳴きだす蝉と鳴き終へてはらりと飛んでゆく蝉と 見ゆ”2012/04/03