感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
S.Mori
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現代を代表する歌人の一人馬場あき子が78歳の時に発表した歌集です。こういう本を読むと、短歌と言う表現形式は本当に良いものだとしみじみ思います。短い字数の中に喜びや悲しみ、自然の美しさ、老いの哀しみと言ったありとあらゆることを表現できます。一つの短歌の中に一つの物語があり、まるで切れ味の鋭い短編を多く読んでいるような感じになることもありました。「過ぎて過ぎて終る時間を晴れ晴れと見せて中空の虹は消えたり」私の一番好きな歌です。虹の美しさを描きながら、同時に人生の儚さ、愛おしさを描いている気がしました。2020/08/31