内容説明
奄美群島は、どのような自然的環境や地理的環境があり、どのような歴史を辿り、どのような文化が醸成されてきたのか。自然・歴史・文化の理解に欠かせない項目を、博物館の学芸員たちが案内する。観光ガイドブック、奄美入門書、郷土学習資料として活用できる一冊。
目次
序章 奄美へのいざない(環境文化博物館として歩む奄美博物館;奄美のシマグチ・シマウタ)
第1章 黒潮に育まれた奄美(奄美のサンゴ礁と人;奄美の舟)
第2章 境界の歴史に育まれた奄美(島尾敏雄とヤポネシア;重層する歴史の島―奄美通史;「南島雑話」に見る奄美;境界の歴史―奄美史の特徴)
第3章 亜熱帯雨林に育まれた奄美(奄美群島の自然;奄美大島を代表する動物;奄美の衣食住・信仰・集落・相撲;サンゴ礁の海の恵み―小湊フワガネク遺跡の世界;奄美の環境文化)
終章 シマに育まれた奄美(奄美の郷友会;現代日本と奄美社会)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
moti moti
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国家の周縁ではなく境界領域としての奄美、琉球でも薩摩でもない奄美を、奄美の方々自身の言葉で記述する。公立博物館が地域のアンディティを定義することには異論もあるだろうが、個人的にはそれこそがまさに社会教育の存在理由だと思う。日々の雑務をこなしつつ、組織内では評価もされないだろうに、この本を書いた学芸員の皆様の熱意は素晴らしい。西郷隆盛の記述が一切ないのが清々しい。2024/02/08
NAGISAN
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1月訪問。西郷南洲流謫跡(西郷と愛加那(龍愛子)宅))の龍さんが、「今年はヒガンザクラ(西郷手植え)が咲かないな。おかしい」とおっしゃいながら、龍家のこと、西郷と愛加那、愛加那と菊次郎のことをお話しいただきました。平家落人→琉球王朝→薩摩藩→大日本帝国→米軍→日本国に統治された奄美を考えた。平家落人には異説があるが、本書では、「1188年、源頼朝は「キカイガシマ」(大隅諸島・トカラ諸島・奄美群島)に平家残党が残るとして攻め込んだ。」との記述があった。(喜界島に俊寛の墓あり。鬼界ケ島は硫黄島とされる。)2023/02/11