内容説明
平均年齢80近く、高齢化率89%の集落。それでも「限界」とは言わせない。日本滞在25年のアメリカ人が愛する田舎の幸せな暮らし―。南日本新聞人気連載「小組合長日記」他を収録。
目次
1 初めての小組合長―2006~2007(里村を見つけて;幹男さん;力をあわせて ほか)
2 深呼吸―2007~2009(アメリカへ帰る;周防大島;キャンプ ほか)
3 再び小組合長に―2009~2010(私ができること;透き通った空;種イモ ほか)
著者等紹介
アイリッシュ,ジェフリー・S.[アイリッシュ,ジェフリーS.][Irish,Jeffrey S.]
1960年米国カリフォルニア州生まれ。1982年、エール大学を卒業後、清水建設に入社。三十代より下甑島で定置網の仕事に就き、その後ハーバード大学大学院と京都大学大学院で民俗学を専攻。1998年より鹿児島県川辺町に移り住み、土喰集落の小組合長を2回務めた。日々の生活や田舎暮らしなどを南日本新聞に9年間連載。日本の知識人、梅棹忠夫や加藤周一などのインタビュー記事を英字雑誌に掲載。2010年から鹿児島国際大学の准教授として、地域創生、まちづくりなどについて教えている。2010年度南日本文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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新地学@児童書病発動中
130
表紙のおばあさんたちの笑顔がこの本の雰囲気をよく伝えている。鹿児島の平均年齢が77歳の集落の四季の生活をアメリカ人の著者がまとめた本。利益とか効率とはかけ離れた集落の生活には、人間らしさと温かみがあふれていると感じた。集落の人達の写真が多く収められているのだが、それを見ていると何とも言えない温かな気持ちになって、胸が震えた。みんな味のある顔をしているのだ。自然と調和し、なるべく必要なものは自分たちで作り、細やかな近所づきあいを大切にするといったこんな生活は、今の日本に最も必要ではないだろうか。2016/01/12
遅筆堂
31
素晴らしい。「幸せってなんだ」と問う本です。私はいつも子供たちに言っているのは「普通に生活できることは幸せ」なんだけれども、この土喰集落の人たちって、まさにそのとおりで、自然体でゆったりと生きている。ジェフリーさんも、もどかしいながらも優しい。限界集落という言葉は外野が勝手に定めた枠組みで、だからといってすべてがそうであるわけではないということが判る。読み進めると段々と集落の人が少なくなっていくので悲しいし大丈夫かと思うのだが、それはそれで自然なんだというスタンスでいるところがまた考えさせられるところ。2013/03/06
犬養三千代
12
久しぶりに爽やかな読後感だ。ジェフリーさんが三十名にも三田内鹿児島土喰集落に移住して馴染んでいくさまを描く。小組合長として奮闘するさまは清々しい。ばあちゃんの写真も和む。幸せって何だろう。2023/01/27
やーるー
5
この集落には孤独死なんてないんだろうな。2020/05/13
ビシャカナ
5
なんと幸福で豊かで満ち足りた生活だろう、泣きそうになる。そして読むのがつらい、自分はこうした田舎から人付き合いからコミュニティから逃げてきた、そんな自分には心苦しい。どんな偉人の偉業よりも、含蓄のある言葉よりも、土喰の人々の何気ないことが胸を打つ。2013/10/15