内容説明
露伴にとって、「文章を作る」ということは「境界」をなくし、「広い」「茫然として分らぬ」世界を作ることに他ならないという意識があったことがわかる。「いさなとり」に内包される「知」と「力」の錯綜のありようには、露伴の求めた「広い」「茫然として分らぬ」世界の一端を見ることができる。
目次
第一部 「制度」からの逸脱(「法」と「幽霊」―「あやしやな」;「美術」の季節―『風流仏』;錯綜する「知」と「力」―「いさなとり」)
第二部 合理的ならざるものへの眼差し(伝説と現実―「新浦島」;“煩悶、格闘”する詩人―「心のあと 出廬」;「詩」の行方―「天うつ浪」)
第三部 「幻」をめぐる談し(「移動」と「境界」―「観画談」;「境界」に挑む者たち―「魔法修行者」;“言”をめぐる物語―「平将門」;香から広がる世界―「楊貴妃と香」)
著者等紹介
西川貴子[ニシカワアツコ]
東京都生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。同志社大学文学部教授。専門は日本近現代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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