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内容説明
現在のインドネシアでは、地域社会での奉仕活動がゴトン・ロヨンの名で行われており、それが国民的「伝統」として語られているが、その端緒は日本占領下のジャワにおいて日本の隣組制度が導入・推進されたことにある。本書はこの歴史を、「伝統」慣習の制度化や、相互扶助を重んじる「伝統」の実践者へと住民たちが自らなっていった過程としてあとづける。
目次
序
第1章 「伝統」との邂逅―旧慣制度調査委員会
第2章 「伝統」の端緒―ロンダ(夜警)制度の警防団への編入
第3章 「伝統」の萌芽―隣組制度の段階的導入
第4章 「伝統」の展開―隣組制度のジャワ全土への導入
第5章 「伝統」の弁証法―隣組の機能「権力の機制」と「住民の互酬」
第6章 「伝統」の鼓吹―隣組制度の推進政策
第7章 「伝統」の視聴―隣組制度の宣伝政策
第8章 「伝統」の貫徹―隣組とジャワ奉公会
第9章 「伝統」の再発見―スカルノによる「伝統」の概念化・鼓吹とジャワ軍政
終章 「伝統の制度化」の今日的文脈
著者等紹介
小林和夫[コバヤシカズオ]
創価大学文学部人間学科教授。歴史社会学、戦争社会学、インドネシア地域研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
20
日本軍占領時のインドネシアにおいて、軍政当局の指示や指令を末端の地域社会まで浸透させるために隣組制度が導入される。その際に、ジャワ軍政当局はインドネシアの伝統でもあるゴトン・ロヨンという相互扶助的性質を持った社会慣習に注目し、その伝統を鼓吹しながら隣組の整備・推進を図る。伝統の制度化によるこの住民組織の実践は、「権力の機制」と「住民の互酬」という機能の弁証法的な関係性を再生産させる構図を潜ませている。インドネシア独立後も、隣組制度と同様の住民組織が導入される実態も示している。2024/02/28
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