内容説明
人気SF作家の青少年向け小説群とアメリカのコミックブック業界の関係を詳細に分析。コミックブックが駆逐された1950年代に、ハインラインが遭遇した「アメリカの敵」とは?
目次
序章 右翼のハインラインと左翼のハインラインの生まれ故郷
第1章 ハインラインと青少年向け小説の出会い
第2章 帝国からの独立と白人性
第3章 新たなヒーロー像の模索における白人性
第4章 国際社会におけるアメリカと白人性
第5章 多文化主義型の白人性の限界
結論 コミックブックを継ぐもの
著者等紹介
島克也[シマカツヤ]
安田女子大学文学部英語英米文学科講師。専攻・専門は現代アメリカ文学(特にSF)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スターライト
9
『夏への扉』『宇宙の戦士』などの作品で知られるハインラインの評論本。スクリブナーズ社から出版された彼の青少年向けSF小説を取り上げ、その中に現れる「白人性」を切り口に当時の出版物を取り巻くアメリカ社会を分析。「青少年モラルのクラウド」により「健全な」青少年向けの小説が推奨される中、ハインラインが担当編集者からの度重なる執筆への介入に反感を抱きながらも、作品中に埋め込まれた彼なりの考えをすくい上げて分析していく。12冊の青少年向けSF小説が、第二次世界大戦以降の権力構造への批判等を含むという指摘には驚いた。2022/10/09