内容説明
1970年代、アルゼンチン軍事政権による反政府活動家の弾圧が生み出した大量の「失踪者」、その中には日本人移民の子どもたちがいた―死体なき「強制失踪」という国家テロリズムと、日常的な人種主義、両者を転覆しようとする、日系失踪者とその親族たちの闘いを文化人類学的視点から描く。
目次
1 「国民再編過程」と「回復」の運動(個人の消去によるナシオンの再編;「記憶」の作業、「回復」の運動)
2 国家テロリズムとマイノリティの闘い―日本という出自(ナショナリティの問答と人種主義の実践;日系失踪者の闘い;日系失踪者家族の闘い)
著者等紹介
石田智恵[イシダチエ]
1985年奈良県生まれ。早稲田大学法学学術院准教授。立命館大学大学院先端総合学術研究科一貫制博士課程修了。博士(学術)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
22
1976-83年までのアルゼンチン軍政期、反政府活動を行う者は「国家転覆分子」として拉致・連行・殺害され表向き「失踪者」とされた。被害者は連座的なものも含め9千人から3万人とも言われる。本書の前半はその強制失踪の実態と、「五月広場の母」を中心とする被害者家族の社会運動の展開を解説。後半は日系人失踪者の事例から、日系人コミュニティがアルゼンチンでどのようなイメージで位置づけられ、それが失踪者の家族にどのように影響したのかを中心に著述される。◇このテーマに関する本は初めてだったので貴重な読書体験となった。2021/04/25
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