内容説明
西アフリカのモシ族では生まれた子供に「奴隷」と名づけることがある―なぜか?「文化」「ジェンダー」「婚姻」「医療」など、テーマごとに設けられた問いに答えながら読み進むことで、文化人類学的な「ものの見方」を身につける入門書。異文化の世界に対して驚き、問いを発し、「共感」する力を養う。
目次
第1章 文化―なぜ生まれた子供に「奴隷」と名づけるのか?
第2章 ジェンダー―なぜ「女医」というのに「男医」といわないのか?
第3章 婚姻―なぜ父は娘と結婚できないのか?
第4章 通過儀礼―なぜ「子供」と「大人」を区別するのか?
第5章 環境と文化―なぜ「自然」と「人工」を区別するのか?
第6章 信仰・信念体系―なぜクリスマスを祝ったあとに初詣に行くのか?
第7章 医療と文化―なぜ熱が出て咳をすると「風邪をひいた」というのか?
著者等紹介
渥美一弥[アツミカズヤ]
1954年生まれ。神奈川県出身。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了、博士(社会学)。専攻は文化人類学(カナダ先住民サーニッチの「文化」復興運動についての研究)。現在、自治医科大学医学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tetsv8
1
異文化への理解のポイントが分かる本。 文化の当たり前は恣意的で、絶対こうみたいなのはないってのは頭に入れておきたい。 自分、他をいろいろ触れるのが大事で、違って当然より一歩踏み込んで、その違いって何でだろ?って近づいていくことも大事だなと思った。 環境で男女の役割があったりなかったり、親の概念もいろんな条件があって面白い。 現在、生きるのが辛いことが多いから、男女がどうの言ってる場合じゃないなと考えさせられた。2021/02/03
G.KIM
1
人類学の入門書を久々に読んだ。常識を疑い、その行為と文化の因果関係を探り、人間と社会の本質というものに迫っていくのが人類学の醍醐味で、その営みは知的に刺激的なものである。頭の体操になった。2020/06/12
ひつじ
1
自文化中心主義でとどまるのは良くない。しかし、「差異があるのは当たり前」と捉え、そこで完結してしまう文化相対主義は尚更よくない。自文化を起点とし、異文化に対する疑問・違和感に対して問い続けることが大切。変?!を理解することこそが文化人類学の醍醐味。2019/02/03