内容説明
物語論・言語行為論の視点を用いつつ、「花ごもり」から「われから」にいたる作品をとりあげ、女性への差別が日常的であった明治時代にあっておどろくほど現代的なジェンダー意識をそなえていた一葉文学の謎にせまる。
目次
1 物語論・言語行為論から読む樋口一葉(物語論・言語行為論の視座;物語論・言語行為論から読む「大つごもり」試論―少女のモラル・ジレンマ)
2 言語行為としてのジェンダー―みつめる女たち・うつむく男たち(「花ごもり」試論―決意する少女・迷う青年;「やみ夜」―意思決定に関わるジェンダー;「たけくらべ」―ジェンダーの構図の運動性)
3 葛藤するジェンダー―心の闇への眼差し(「軒もる月」をめぐる言語行為―心の「影」の世界への眼差し;言語行為から読む「にごりえ」試論―お力の苦悩と愛における心的二重性をめぐって;「十三夜」試論―ジェンダーと言語行為をめぐって)
4 行動としてのジェンダー―越境する女たち(「わかれ道」における身体性と言語行為の構図―反転するジェンダー;「裏紫」における言語行為の意味;「われから」におけるジェンダー観―言語行為の多属性を手がかりにして)
著者等紹介
笹川洋子[ササガワヨウコ]
神戸親和女子大学文学部総合文化学科教授。東京大学大学院人文社会研究科社会学専攻、社会学修士。専門はコミュニケーション論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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