内容説明
関東大震災からの復興を期して建てられ、マッカーサー、チャップリン、裕次郎、大作家たちも泊った一流ホテル。ここには、横浜と近代日本の歴史を知るヒントが隠されている。横浜を深く愛する作家が、優雅でちょっぴり知的な旅へご案内。
目次
開港横濱の大パノラマ
日本の職人技・横浜家具
関東大震災復興のシンボル
横浜の洋食店に根付くサリー・ワイルの心
ミスター・シェイクハンドが迎えたマッカーサー
明治の世界一周旅行―野村みち
犬を連れたロシア婦人
大仏次郎の部屋と二人の「おはな」
日本の命運を賭けたニューグランドの一夜
不思議な形―横浜中華街
文豪たちを魅了した元町
ホテル・レストランの楽しみ方―宇佐神茂ホテルニューグランド総料理長に聞く
中庭の美味―イル・ジャルディーノ
ベテラン・バーテンダーは水先案内人
日本は絹の国だった
アフタヌーンティーと横浜のお茶場
氷川丸の数奇な年月
インド水塔が山下公園なわけ
やっぱりジャズでしょ、横浜は
著者等紹介
山崎洋子[ヤマザキヨウコ]
1986年、第三二回江戸川乱歩賞を「花園の迷宮」で受賞。小説家としてデビュー。横浜を舞台にした著作が多い。舞台の脚本・演出も手掛ける。2010年、地域放送文化賞(NHK主催)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆ゆう☆
91
最近は一流と呼ばれるホテルも気軽に入れるようになってきた。全体的にホテルの格が下がっているようにも言われるなかで、ホテルニューグランドは数少ない「きちんとしたホテル」である。クラシカルで厳かな独特の雰囲気に惹きつけられる。ここでは流行りというものを一切感じないのだ。それがずっと不思議だった。最初は重要文化財に認定されている建物がそうさせているのだと思っていたが、決して建物だけではなかった。従業員が皆ホテルニューグランドの伝統を大事にしていて、横浜の歴史を重んじているからなのだということをこの本から学んだ。2016/04/12
わんつーろっく
10
ホテルニューグランドを抜きにして、横浜の歴史は語れない。関東大震災の復興シンボルとして誕生し、戦後は米軍に接収される辛酸も舐めている。日本初の海浜公園である山下公園、洋館が建ち並ぶ山手、ハイソな元町、食べ歩きも楽しい中華街など、今は人気のスポットを従えているが、焼け野原から逞しく甦った横浜に、そっと寄り添い、タイムトリップするホテルニューグランドへようこそ。2018/04/14
和草(にこぐさ)
10
ホテルニューグランドに纏わる話し。周辺の山下公園等の話しもあり、ニューグランドだけではなく横浜巡りに行きたくなる一冊。ニューグランドで働いている方々の話しもあり、それも良かった。2014/04/03
ひねもすのたり
8
山下公園を挟んで対峙するように位置する氷川丸とホテルニューグランド。 あくまで個人的な意見ですが、戦前からの昭和史を語る上において双璧をなす存在です。 本書はそんなホテルニューグランドにまつわるエピソードを絡めた山崎洋子さんのエッセイ。 横浜開港の歴史から関東大震災。マッカーサー、大仏次郎・・・よく知られたエピソードだけではなく、30年ホテルで暮らしていたロシア人女性や降伏文書調印の深夜に日本の命運を背負ってホテルに忍び込んだ外交官の話が印象的。本館の階段やロビーに漂う時の気配を堪能いたしました。★42019/10/19
kiyosk
6
ホテル・ニューグランドの正面玄関を入る時には立派なドアマンの出迎えを受けることが出来る。けれども、個人的には山下公園沿いの入口から入る方が好き。あの有名な大階段が目の前に広がる。さらに、その階段を上がると空気が変わる。タイムスリップしたかのように、日常から離れることができる。ホテル・ニューグランドはただの高級ホテルではない。横浜の発展と復興をずっと見守り続けている。ニューグランドをもっと楽しむために、横浜の歴史を学ぶのも良い。2016/04/11
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