内容説明
シンデレラは日本にもいる?赤ずきんはドイツ人、それともフランス人?青ひげはジャンヌ・ダルクの心の友?長靴をはいた猫の仕掛けた罠は?眠れる森の美女のお肌のひみつとは?世界中で語りつがれる5つの物語を読み解く。
目次
第1章 シャルル・ペローとヴェルサイユの民話
第2章 世界の民話「シンデレラ」
第3章 ペローとグリムの「赤ずきん」―民話の構造研究
第4章 「赤ずきん」と「ヘンゼルとグレーテル」―民話のふしぎな力
第5章 「青ひげ」とジル・ド・レ
第6章 「長靴をはいた猫」の政治学
第7章 つごうのよすぎる「いばら姫」
第8章 民話の語りとその資料
著者等紹介
樋口淳[ヒグチアツシ]
専修大学文学部人文・ジャーナリズム学科教授。ベルギー・ルーヴァン大学卒業後、フランス・日本をはじめ各国の民話や民俗の研究に取り組む。日本民話の会運営委員をつとめるかたわら、日本民話データベース作成委員会を組織し、民話記録のデータベース化に取り組んでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Takayuki Oohashi
18
僕は大塚英志さんの創作論に心惹かれた者なのですが、この作者の樋口さんは、大塚さんが昔引き合いに出していた、ソ連の民話学者のプロップの「昔話の形態学」の、物語は31の「機能」によって分解できるという分析で、実際、赤ずきんなどの代表的な民話のこと解読していました。その辺りがこの本の現代的な点で、他にも、精神医フロイトの「無意識」にあたる「エス」などの手法によって「青ひげ」を分析している章もありました。この二つの分析の手法が僕にとっては新鮮で、新しい見地を得られた所でした。昔の民話でも研究は尽きないものですね。2016/12/03
ぴー
6
民話の入門書として読んでいて楽しかった。初学者として読むべき本や歴史が優しく書かれている。シンデレラなどの有名どころの物語を軸に、奥深い民話研究が紹介される。アアルネやプロップの分類の視点からの読み方、フロイトなどの精神分析的読み方、青ひげとジル・ド・レ、カラバ公爵とシャルル7世という歴史的事実と並立した読み方も面白い。興味が深まったので参考文献も読んでいきたい。忘れてはならないグリム兄弟とペローの功績も書かれており盛りだくさんだ。研究者と語り手への温かい尊敬が伝わってきた。2016/02/10
SKH
6
ペロー考察。2013/11/20
naoto
2
読みやすかったし、面白かった。「赤ずきん」が多いなって感じがしたけど、他にも「青ひげ」や「シンデレラ」、「長靴をはいた猫」など、改めて読んだ。昔話や民話、神話など伝承の話もハマってみると面白そうだな。2020/10/26
にたす
1
精神分析からのアプローチは娯楽として見る楽しさで、研究としては行き過ぎているように感じる。堅苦しいという欠点はあっても、きちんとした歴史の調査に基づいている方が研究らしさはある。もっとも、タイミングさえ合えば河合隼雄が自然に受け入れられるときもあるから、受け手の問題だろうか。2011/12/10