内容説明
江戸末期、犯罪として裁かれたアイヌ墓地発掘は明治以降、「学術調査」の名の下に公認され、アイヌ民族の抵抗は無視され続けた。小金井良精、児玉作左衛門など代表的アイヌ学者たちの動きを追い、学問に内在する「暴力への意志」を浮き彫りにする。
目次
第1章 幕末の事件
第2章 明治と大正の発掘旅行
第3章 昭和の学術調査
第4章 「人為的」損傷の研究
第5章 発掘の論理と倫理
第6章 知の力
著者等紹介
植木哲也[ウエキテツヤ]
1956年生まれ。苫小牧駒澤大学教授。哲学、科学技術社会論、比較文化論などの講義を担当している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Willie the Wildcat
26
学術研究は、知への欲望でもあり、将来への希望。然るに尊厳を尊重するなど、「人道」を外れないのは前提。幕末の英国人の所業は言うまでもないが、児玉氏主張の”認可”も道義上の疑問は拭い切れない。一方、ある種の植民地政策を髣髴させる違和感。同時に、私自身を振り返ると、日本のことでありながら、知らないこと多々・・・。”痛み”に目を背けることなく、事実に基づく知識を養うことで客観性を保ち視野を広げていきたいと改めて感じる。 2014/08/19
ぞだぐぁ
0
北海道大学等に対してアイヌ系日本人が遺骨の返還を求めていた問題について、遺骨が収集された経緯から返還を希望された流れについて書かれた本。2008年の本なのでウポポイについての話はまだない。 暴かれた理由としては進化論や人種論から、骨相学の流行。 収集する行為自体については江戸時代末期にやってきた英人は英政府も問題として犯人を裁いているが、明治以降になり富国強兵のため学問の力が強くなるとためらいこそあれど和人によって強引に進められている印象。2021/12/16