内容説明
ママを亡くした男の子。ゴリラが現れて、そっと寄り添います。「ママはどこにいったの?」「どうしてママはしんだの?」「いつになったらかなしくなくなるの?」男の子の問いかけに、ゴリラは一つひとつ、答えていきます。大切なひとを失う深い悲しみ。それを丸ごと、大きな腕で抱きしめる絵本です。
著者等紹介
クレイマー,ジャッキー・アズーア[クレイマー,ジャッキーアズーア] [Kramer,Jackie Az´ua]
俳優、歌手、スクールカウンセラーとして活動し、子どもの本の作家に。『The Green Umbrella』『If You Want to Fall Asleep』などの作品がある。米国、ニューヨークのロングアイランドで家族と暮らしている
ダービー,シンディ[ダービー,シンディ] [Derby,Cindy]
スコットランドで演劇を学び、操り人形師として世界中をまわった後、独学でイラストレーターに。『How to Walk an Ant』『Climbing Shadows』などの作品がある。米国、サンフランシスコで暮らしている
落合恵子[オチアイケイコ]
作家。クレヨンハウス主宰。社会的に声の小さい側に置かれた人々の視点、オーガニックの視点で、文化を明るく拓く提案を続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
197
ママはどこ。ここにいたのになんでいないの。だいすきな波の音がきこえるのに。きっといる。もうかえってこないの。うん、、悲しいけれど。でもずっと愛している。だれかといたいのに、ときどきね、ひとりになりたいときがあるの。この花がさいたらきっと喜んでくれるよね、、ママにあいたい。深い悲しみにどう向き合えばいいのだろう。悲しければただ泣ければいいのに、涙はなく音もなく。そっと寄り添い寝室で涙を流すパパ、互いに見つめ合うことしかできないなんて。ふたりが悲しみを分かち合えたとき、悲しみのゴリラは静かにそっと去っていく。2023/02/04
のっち♬
157
ママを失い、その悲しみを大きすぎるが故にパパと共有出来ない少年は心の中に寡黙なゴリラを作り出した。ゴリラは寄り添い、問いに応え、少年の目線から現実と向き合わせてゆく。「ときどきね、ひとりになりたくなる」—深い喪失を抱えた人間の生彩に欠ける表情と、温かく見守るゴリラの表情のコントラストは包容力に満ちている。ブルーが基調の重く鬱屈とした背景から鮮やかな空に至るまで、一足飛びにはいかない心情の浮沈を静かに表現する濃淡の調節が上手い。クライマックスで父子を丸ごと抱きしめるゴリラ、こうした受容過程に世代は関係ない。2023/03/31
MI
95
ママを亡くした男の子。「ママはどこにいったの?」、「ママはどうしてしんだの?」ゴリラが現れてひとつ一つ丁寧に男の子に寄り添い、質問に答えていきます。とても切なくでも「ママがいなくなっていつ寂しくなくなるの? 」すごく身近な人の死について温かく抱きしめてくれるような絵本。2023/10/31
馨
88
絵本。ゴリラがママを亡くした少年に寄り添い、少年の質問に答える話。少年、早くママの死の悲しみを乗り越えてほしい。ゴリラもパパも亡くなったママもそばにいる。2021/04/25
☆よいこ
82
絵本。母親を亡くした少年の悲しみを描く。少年にそっと寄り添うゴリラ。ゴリラは少年の言葉に優しく答え、手を差し伸べる。少年はゴリラと言葉を交わすうちに、同じように悲しんでいる父親に気づく。悲しみは分かち合うことができる。そして人は共に歩いて行くことができる。▽静かに心にしみる絵本。ゴリラの眼差しが優しい。