著者等紹介
ハルムス,ダニイル[ハルムス,ダニイル]
1905年にロシア、ペテルブルグに生まれる。ペンネームは英語の「charm魅力・魔法」と「harm傷」から作られたとの説もある。十一歳の頃からお話を書いていた。1927年末に「リアルな芸術の結社(オベリウ)」を設立。1931年、反ソ的グループ活動の疑いで逮捕、32年に釈放。1941年に逮捕され42年、刑務所の病院で没する。1980年代後半から遺作が相次いで刊行され爆発的人気を得る
井桁貞義[イゲタサダヨシ]
早稲田大学文学学術院教授。テレビ「ロシア語会話」ラジオ「ロシア語講座」の講師を務める
西岡千晶[ニシオカチアキ]
三重県津市生まれ。大学で染色を学ぶ傍ら、実兄と組み“西岡兄妹”の名で、コミックモーニングよりデビュー。画を担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マリリン
37
最初は馴染めず童話なのかと思ったが、読み進めるほどに時代背景を風刺するかのような深みを感じた。「誰が一番早いか」など、動物が登場する作品が多い。著者の経歴を想うと、なるほどと思う倒錯したような世界。表向きは児童文学だが危険視される要素がちらほら。フォントが小さく読み進めるのが大変そうと思った「最後の老婆」は一番作品に入り込めた。「プーシキンと...」と「パーキンと...」は可笑しさ、いや嘲笑か。暗い森は地下での活動を余儀なくされたロシア文学の森か。作品の重複があるようだが「ハルムスの世界」も気になる。2024/11/23
二戸・カルピンチョ
21
冗談なのか真面目なのか、不気味で不穏な感じがして。これにもし10代で出会っていたらどはまりしただろう。ロシア、いいっ。2019/03/26
taku
16
少し前に知り、読んでみたくなったダニイル・ハルムス。スターリン政権下で創作を続けた人。意味やストーリー性を欠き軽さもあるが、数作読めば当時に垂れ込めた暗雲を投影していることに気付く。ふざけた現実に批判を込めて、ふざけ返しているみたいだ。示すものを確かめるように読んでいく。わからなくても構わない。「善き人々はどうしてもしっかりとした足で立つことができない」「私たちはみんな、吐き気がするんです!」 きっとそういうことなんだろう。造りは絵本と言えるが、挿し絵を日本で入れてるなら元は違うのかな。2024/04/19
relaxopenenjoy
6
22の短編と、1つの中編。短編は読了済の「ハルムスの世界」と一部重複。ブラックでシュール。挿絵も豊富。絵が、綺麗なんだけど、人物の顔(目)がちょっと怖い。2025/01/18
mejiro
5
「出来事」「うさぎとハリネズミ」「恐ろしい死」「パッサカリア一番」「プーシキンとゴーゴリ」、中編「老婆」が特におもしろかった。『ハルムスの世界』で読んだ作品が多かった。別訳と挿絵で違いを楽しめた。2015/02/19