内容説明
ラークライズの農村から町に出てきたローラ。誰に出会い、誰と生きていくのか?時代の変化に巻き込まれながらも、自分らしさを失うことなく成長していく物語。
著者等紹介
トンプソン,フローラ[トンプソン,フローラ] [Thompson,Flora]
1876~1947。イギリスのオクスフォード州ブラックレー近郊のジャニパーヒル(本書中のラークライズ)生まれ。郵便局に勤め、24歳のとき、郵便局員のジョン・トンプソンと結婚。仕事のかたわら詩や散文を書いていたが、長い試行錯誤を経て自分にふさわしい作品の形を探求することになった。やがて彼女は子供時代の回想を書き始め、1937年、のちに『ラークライズ』の一部になる作品「オールド・クィーニー」を発表、1939年には『ラークライズ』を刊行した。引き続き、第2作『キャンドルフォードへ』、第3作『キャンドルフォード・グリーン』を書いた。1945年には3作品が3部作として1冊にまとめられ、作家としての名声は確固たるものになった。生涯の終わりになって後世に残る作品を著した作家である。最後の作品“Still Glides the Stream”を書き上げた数週間後に亡くなった
石田英子[イシダヒデコ]
1949年生まれ。お茶の水女子大学史学科卒業。未紹介の古い良書を発掘し翻訳することに情熱を傾ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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NAO
57
ビクトリア期のつましく温かな村の生活を描いた『ラークライズ』の続編。田舎の小さな村から近隣の町に出た少女ローラが見た世界。自転車の登場から始まった新しい時代は、人々の生活スタイルや意識を変えていく。ローラが町で働くこと自体がかなり目新しいことだったが、思えばローラに手伝いを頼んだミス・レーン自身も女性ながらに父親の家業を継いだ時代の先端を行く女性だった。村から町へ、そしてさらなる地への旅立ちを予感させながら、それでもローラの心に深く刻みこまれている故郷ラークライズ。2022/10/30
takeakisky
0
戦死したエドマンドも幼い姿で。本の中では、思い出の中では、何度でもよみがえる。イギリスでは、一巻本で出版されているというラークライズトゥキャンドルフォードの後半二巻分。行きつ戻りつしながら、徐々に年代は進む。段々とヴィクトリア朝の美徳とされた生き方から変わりゆく世の中と人々。移動手段の発達、それがたとえ自転車であっても、を享受できるようになることというのは、比喩でなく世界を変える。村から町へ、町から世界へ。執筆時期、著者は60代。約半世紀前を回顧し、三人称で綴られる。生き生きとした記憶が描く瑞々しい情景。2025/05/04
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