内容説明
人間は、動物との関わりなしには生きていけない。殺処分されるペット、食べられる家畜、見られる動物、実験室で生まれるいのち、棲む場所を追われる野生動物、東日本大震災と動物たち。知らなかった、動物たちの現実。人間と動物がともに生きるために、私たちは、動物のいのちについて考えなくてはならない。
目次
第1章 ペットの売買について―伴侶動物
第2章 いのちの「食べかた」を考える―産業動物
第3章 人に見られる動物たち―動物園動物
第4章 ラボから始まるいのち―家畜・実験動物からヒトまで
第5章 あふれる野生動物との向き合い方―野生動物
第6章 東日本大震災と動物
著者等紹介
高槻成紀[タカツキセイキ]
1949年鳥取県生まれ。元麻布大学教授。現在、シカを中心にさまざまな野生動物と植物の関係について、保全生態学的な視点から研究している。現在、福島県のプロジェクトに参加している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Sakie
17
伴侶動物、産業動物、展示動物、実験動物、野生動物。日本人が便宜上区別する各々について、専門家が文章を寄せている。太田記者をはじめ生命倫理に基づいた熱い問題提起もあれば、専門分野の解説に終始するものもあり、相互に連関する企画ではなかった。動物福祉に反する利権者都合で動物の命が扱われる現状はもちろん、日本特有の縦割り行政では税金を無駄にするだけで対応し得ない分野など、総合的に判断なり法整備なり対応しなければならない、ということはこの本からも察することができるだろう。東日本大震災と動物についての考察が目新しい。2020/02/10
みずのり
4
意外と「愛玩動物」「動物園動物」「家畜」「実験動物」「野生動物」を並べて俯瞰できる本は少ない。これを読む人はどれかに固執するのではなく、生き物と人のかかわりはこれだけ多様性があるのだと受け入れて欲しいと思う本だった。文字数の割に視覚イメージが出来ないものが多いので(動物愛護などの批判を避けるためかもしれないが)、自分で関係のある本を見つけて知識の連鎖を起こすのが絶対いい。2016/04/20
ゆきんこ
3
動物-ペット、家畜、動物園、実験動物、野生動物、震災の被害動物に至るまで動物のいのちについて述べられていた。 どれも問題は大きく、また多いが、その解決法というよりは問題提起で終わっている。心痛む、難しい問題である。すべての問題は人間が引き起こしているのはまちがいない。 2016/04/05
ぴょんpyon
1
伴侶動物(ペット)や産業動物,動物園動物,実験動物,野生動物と、さまざまな立場にある動物のいのちの扱われ方を描く。予想よりも感情に訴えかけるような内容が多かった印象があります。とはいえ、インタビューや実体験をもとにした具体的な事実の描写が多く、「いのちについて考えるきっかけにしてもらいたい」という筆者らの目的は達成できたのではないでしょうか。2020/12/06
やこ
1
ペットとして、食物として、展示物として、実験体として、自然に暮らす隣人として…動物と様々に関わる人達が、それぞれの関係の中でどんな問題が起きているのか、動物との関係性を考える本だった。初めの章のペット産業の闇の部分がかなり衝撃があった。それぞれの人が異なる立場から人間の動物の捉え方を紹介していて、動物と人間は意識していなくとも沢山の関り合いがあるとともに、彼らの命をいかに利用して都合良く使っているのか、読んでいて足元が崩れるような気分になった。人間は動物との関り合いに対し沢山の矛盾を抱えているのだなあ。2020/02/06
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- 和書
- 物理実験 〈2015〉