内容説明
あの誇大妄想の麻原に、あの荒唐無稽な教義になぜ信者たちはひきつけられたのか。前途有為の若者たちが、どうして数々の殺人を含むおぞましい事件にまきこまれたのか。著者は、オウム真理教事件を根底から理解するために、そもそも人間存在のあり方、そしてそこに機能する言語を介した人間一般の認識の態様にまで遡って、原理的に考えてみる必要があると主張する。そのような視角から著者は、ウィトゲンシュタインの“言語ゲーム”の概念に着目し、あわせて政治学の多彩な手法を駆使してオウム真理教事件を分析し、事件の意味を探る。
目次
第1章 「オウム真理教事件」の概要と問題関心(さまざまな疑問と「オウム真理教事件」の起点;東京地下鉄サリン事件の前後 ほか)
第2章 理論的諸前提―人間と状況(価値体系;ネーミング ほか)
第3章 教義に内在する論理的しかけ(教義内容とその受容;“ポア”の論理 ほか)
第4章 教団システム作動の政治学(殺人への傾斜―田口修二事件;“高弟”たちの心理 ほか)
第5章 結語―事件が含意するもの(オウム真理教事件と敗戦前の日本;言語ゲーム概念と相対主義 ほか)
著者等紹介
大石紘一郎[オオイシコウイチロウ]
1944年、島根県生まれ。数量データに基づく政治分析、シンボルとイメージの政治学を研究。青山学院大学法学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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