内容説明
九月。故郷のストラスクロイ村に離れて暮らす家族達が帰ってきた。盛大なダンスパーティーの楽しい宴と、その中で進む家族のドラマ。エアド家とバルメリノー家の二つの家族を中心にして過去、そして現在を浮かび上がらせながら…人生のそれぞれの決断の時が迫る。家庭と家族の絆を深い愛情をもって描き出した、ピルチャー長編代表作。
著者等紹介
ピルチャー,ロザムンド[ピルチャー,ロザムンド][Pilcher,Rosamunde]
1924年イギリスのコーンワルに生まれる。第二次世界大戦勃発後、海軍婦人部隊に入隊、勤務のかたわら短篇小説を雑誌に発表しはじめる。代表作『シェルシーカーズ』(1987年)は欧米で250万部のベストセラーとなる。続いて、『九月に』(1990年)も200万部を超えるベストセラーとなる。長篇、中篇、短篇に作品多数。スコットランド在住
中村妙子[ナカムラタエコ]
1923年東京に生まれる、東京大学西洋史学科卒業。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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小梅
77
とても良かった。関係ないと思っていた人物が意外な所で繋がっていた。上下巻とページ数を感じさせない読みやすさ、情景が浮かぶようでした。他の作品も読んでみたいです。2015/10/09
こばまり
40
素晴らしかった。タペストリーのように編み込まれた物語が好きだ。家族の有り様を問わず人は個として存在する。しかし大切な繋がりは死後も続くと思うと穏やかな気持ちになる。折しも今日は台風一過の青空。にわかに秋めいてきた。やはり9月に読んでよかった。2017/09/18
rokoroko
18
あのセリフ何だったかなぁ~と思って再読する本ってありませんか。今回再読したわけは「幸福ってね自分が現在持っているものを最大限に役立てることだし豊かさってもっているものの価値を最大限に引き出すことじゃないかしら」と言う一行を読みたかった・・・2022/12/15
rokoroko
15
再読、ノエルという登場人物が息子に見えて仕方ない。ああいう純なお嬢さんと静かに暮らしてほしいと思いながら読了2020/11/05
chocoうさぎ
4
パンドラと言う名前からして暗示的だが、やはりそうなのか。パーティーに集まった人々の晩餐会が開かれ、いよいよ過去の魑魅魍魎の箱が開かれ、パーティー当日と翌日で全ての物語が収束していく。あのパーティーがきっかけでそれぞれが新しい人生に踏み出す様な展開。読後感の清々しさは描かれたスコットランドの9月の風景の様だ。一見、軽目の現代もの風ながら語られているのは人生について、幸福の秘訣であり、ある程度年を経ないとその深さは分からないかもしれない。9月に読んで良かった。人生の機微を軽やかに描いていて面白かった。2021/09/18