出版社内容情報
吉備国際大学准教授で近代化遺産の研究者・小西伸彦氏が、山陽線・津山線・吉備線・宇野線・因美線・伯備線・姫新線・芸備線……など〈鉄道遺産の宝庫〉といわれる岡山県内の鉄道遺産をくまなく歩き、紹介したもの。駅舎、線路、トンネル、橋梁……積み上げられたレンガの一つひとつにまで染みこんだ鉄道技術者たちの汗と涙、住民の熱意……。レールに連なるさまざまなドラマの数々に興奮と感動をおぼえずにはいられない一冊。
1 山陽線上郡-三石三石-吉永●コラム トンネルとアーチ拱渠吉永-和気熊山-万富瀬戸-上道東岡山-岡山岡山駅北長瀬-中庄倉敷-西阿知金光-鴨方笠岡-大門2 中國鐵道津山線法界院-福渡弓削-津山●コラム 津山線のトンネル津山線のアーチ橋ポーナル型プレートガーター橋●コラム 津山線の輸入橋桁3 吉備線大安寺-備前一宮備中高松駅足守駅付近の石造渠緑東総社-総社中國鐵道吉備線跡と湛井駅跡4 宇野線橋台・橋脚・橋梁八浜-宇野5 因美線因美線を行く美作河井駅転車台6 姫新線木造駅舎を歩く●コラム 万ノ乢トンネルと豊福豊造津山線機関車庫三大河川を渡る姫新線中国勝山駅7 伯備線伯備線の木造駅旧線路を歩く布原駅8 芸備線矢神駅と野馳駅あとがき参考文献
明治中期、まだ輸入に頼っていた鉄道技術が、100年を越えた今でも現役で鉄道を支えている。われわれが乗っている列車は“明治”の上を走っているのである。列車の中からではわかりにくい鉄道遺産だが、列車の目、観察者の目をして見たら、たくさんの明治や大正が見えてくる。職人が一つひとつ積み上げた煉瓦は時を越えて美しい。煉瓦ひとつにもたくさんの種類や積み方がある。花崗岩で築かれた橋台やトンネルは威風堂々。経年変化でみすぼらしくなるコンクリートとは大きく異なる。時間をかけて造られたモノは美しい。規則正しく同じ形に曲げられたレールの織り成すリズムは“優美”そのもの。昭和30年代まで、人々は古いものを大切にしてきた。古レールの再利用はその典型である。 今は大きな鉄道ブーム。軽快に走るカラフルな車輌に魅せられる人々も多い。しかし、熟練機関士が、ハンマーの音を頼りに点検して走らせた蒸気機関車には、独特の人間くささがある。その蒸気機関車の借景となってきた鉄道風景には、失われてきたはるかな時間、懐かしい人々の記憶、あの日見た夢があふれている。
内容、写真、地図など鉄道ファンならずとも持っておきたい一冊。
内容説明
子どもの頃から鉄道好きという著者が、県内の国有鉄道全線を、くまなく歩いて記録。駅舎、線路、トンネル、鉄橋…レールに連なるさまざまなドラマが走り出す。オールカラー、詳細地図付き。
目次
1 山陽線
2 津山線
3 吉備線
4 宇野線
5 因美線
6 姫新線
7 伯備線
8 芸備線
著者等紹介
小西伸彦[コニシノブヒコ]
吉備国際大学准教授。1958(昭和33)年総社市生まれ。香川大学経済学部卒業。子どもの頃からの鉄道好き。2005(平成17)年から産業考古学に取り組み、現在、産業考古学会評議員。鉄道史学会、九州産業考古学会、日本民俗学会、日本の石橋を守る会、赤煉瓦ネットワーク、全国近代化遺産活用連絡協議会会員。津山機関車庫、美作河井駅転車台、山陽鉄道姫路駅転車台、姫新線万ノ乢トンネルなどを調査。総社市門田在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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