出版社内容情報
経済学者や専門の歴史学者を中心に、自治体職員・議員・教育者・経済人らが
方谷の残した藩政改革など優れた業績の研究成果を発表し、講演会や出版物などを紹介する。「山田方谷研究会」の機関誌。
巻頭言
山田方谷を現代に活かす 山田 敦
随想
心の言葉衆議院議員 小野晋也
山田方谷生誕200年 (西暦2005年) 前後の動向 野島 透
山田方谷の藩政改革に想う 柴田 一
我が家の歴史と山田方谷 目瀬守男
財政再建策のヒントを山田方谷に学ぶ 平野正樹
生誕200年記念事業に取り組んで 岡田克三
教育者方谷 児玉 享
山田方谷の財政改革に思う 鳥越一男
研究会講演論文
山田方谷の藩政改革をめぐって 朝森 要
山田方谷の自治財政思想 坂本忠次
研究ノート
三島中洲と第八十六国立銀行の設立 高橋義雄
高梁市の方谷記念事業
山田方谷生誕200年記念事業遠 藤正 博
書評
朝森 要著 『山田方谷とその門人』 柴田 一
山田方谷顕彰会 『入門 山田方谷』 三宅康久
研究会動向
山田方谷研究会の趣旨
これまでの研究会の主な活動
あとがき 坂本忠次
山田方谷を現代に活かす
山田 敦(山田方谷五代孫)
2004年から2005年にかけて、 山田方谷生誕200年祭にちなんで、 全国藩校サミットなど、 多くの行事が開催された。 成人を対象としたものだけではなく、 中高校生や小学生が参加したイベントなど、 多彩な企画が各地で次々と催された。 方谷の末裔に繋がる者としては、 誠にありがたいことだと思っている。 たくさんの方々が、 それぞれの立場・地域で支えてくださったお陰であり、 感謝申し上げる次第である。 また、 テレビ・新聞等のメディアでも連日のように方谷の業績が紹介された。 しかも、 方谷の藩政改革の成果を讃えるだけではなく、 その内容は哲学、 政治、 軍備、 民生、 教育など多方面にわたっており、 方谷の業績の全体像に迫ろうとする内容であり、 それをいかに現代に生かすかを問うものが多かった。
そのような中で、 この山田方谷研究会が発足したことは、 真に意義深いことである。 方谷を再認識するだけに留まらず、 その研究が現代に活かされてゆく方策を提言できればすばらしいことである。 勿論、 方谷の人生や業績を研究した成果が、 それを読む人に感慨を与え、 その人の人生に大いに影響を与えることも多くあろう。 実はそれが最終的には重要なことかもしれない。 しかし、 方谷の業績が哲学や精神世界におけるものだけではなく、 これだけ実際的なものであるのだから、 具体的な施策に活かされる場面が期待される。
ところで、 岡山県庁の有志の方々が、 山田方谷に学ぶ会を結成し、 長年地道な活動を続けてこられており、 本研究会にも多くの方が参加しておられる。 方谷の政策や精神が、 岡山県の行政にも影響を及ぼしていると考えると、 心強い限りである。 その会で、 方谷著述の 『孟子養気章講義』 と 『孟子養気章或問図解』 を平易な現代語で訳し、 広く一般の方や中高校生に紹介する活動を計画されているとお聞きした。 研究報告を読ませていただくことを楽しみにしている。
この 『孟子養気章講義』 は、 方谷が 『孟子』 の中の気を養うことについて述べられている文章について、 王陽明の説に従って講義をしたものである。 私は高校教育に関わる者であるが、 方谷の説く 「気」 を養う方法を活かした教育を実践できないものかと考えたりする。 何事にも動じない心を養い、 何者をも恐れない正義の心を養うことを教育の基本に据えた実践は、 前途有為な若者に影響を与え、 社会に影響を与えることができるのではないか。 真の勇気を持とうとする努力は、 人格の形成だけでなく学力の養成にも役立つにちがいない。
なにも、 方谷の業績を現代に活かすのは財政についてだけではない。 教育の場面でも可能であろうし、 いろいろな場面で活かされることが考えられるのではないか。 今後、 さらに方谷の研究が深まり、 現代に影響を与えていく様子を見てゆきたい。
山田方谷の最新の研究成果が掲載される。