出版社内容情報
65歳以上の大人たちは、こんな日々のことを忘れてはいません。食べるもの、着るものがなくなり、校庭で竹槍の練習をさせられ、震えながら聞いた「空襲警報」…「私が二年生になると、尋常高等小学校は、国民学校初等科と呼び名がかわりました。その年昭和十六年(1941)の十二月八日に第二次世界大戦が始まりました。」(本文「戦争」より)
慎ましくとも穏やかな毎日…しかし戦争の始まりとともにその生活は一変。五年間の国民学校時代の記憶をたどりながら、戦争の不条理と狂気を、幼い子どもの目を通し描いた一冊。
「日本は六十年近く戦争をしていません。他の国で起きている戦争のニュースがテレビに映されると、子ども達のいたいたしい姿を目にしますと、いやでも私が子どもだった頃を思い出してしまいます。(中略)毒のない木の実を拾い煎って食べ、毒のない草をさがして食べたむごい生活がありました。苦しみを苦しみとも思わない子どもたちのこころ…。ふりかえると悲しくなります。それでこれを本にしました。人は、何かに洗脳されていくことすら感じることのない生活はこわいものです。(「あとがき」より)
65歳以上の大人たちは、こんな日々のことを忘れてはいません。食べるもの、着るものがなくなり、校庭で竹槍の練習をさせられ、震えながら聞いた「空襲警報」…。こんな時代だからこそ、ぜひ思い出してほしい記憶です。