内容説明
最新知見による原因究明と治療法、知っておきたい予防法まで。アルツハイマー病が発見されてから120年近く経つものの、いまだ未解明な部分も多く、治療薬は少ない。ただ、ここまでわかってきたことがある。それはアルツハイマー病の発症原因は一つではなく、神経細胞の外と内から呼応するようにタンパク質の変性が起きるということだ。神経細胞の外ではアミロイドβが集まり毒素を出し、内ではタウタンパク質が変性して、神経細胞を死に至らしめる。また発症しやすい遺伝子も特定されており、こちらもタンパク質の異常が契機となる。なぜタンパク質は変性するのか、変性したタンパク質がどのような機序で神経細胞を死滅させるのか、治療法や治療薬はないのか、その効果は?さらに予防する手立てはあるのか、など…。多くの人が関心を持つアルツハイマー病について、斯界の第一人者がやさしく解説する。
目次
1章 アルツハイマー病はタンパク質が引き起こす病気―病気で起こる脳と神経の変容(脳の栄養は糖と脂肪;情報の運び屋「神経伝達物質」 ほか)
2章 アルツハイマー病 発症原因の一つ―神経細胞外で起きる「アミロイドβ」蓄積のメカニズム(アミロイドβの発見;そもそも「アミロイド」とは何か ほか)
3章 アルツハイマー病 発症原因のもう一つ―神経細胞内で起きる「タウタンパク質」の蓄積(40代で脳梗塞を経験した人が50代で認知症に;老人斑が見つからない認知症 ほか)
4章 アルツハイマー病治療の最前線―検査は困難を極めるが希望はある(新薬・特効薬への期待;検査方法における挑戦 ほか)
5章 日常生活でアルツハイマー病を予防する―生活習慣病予防がアルツハイマー病予防につながる(遺伝子と環境要因がそろったとき発症する;読書や楽器演奏を楽しむ ほか)
著者等紹介
井上浩義[イノウエヒロヨシ]
1961年生まれ。慶應義塾大学医学部・化学教室・教授。理学博士、医学博士。九州大学大学院理学研究科博士課程修了後、山口大学医学部助手、久留米大学医学部教授などを経て現職。日本抗加齢医学会理事、大学等放射線施設協議会理事など。専門は薬理学、生理学、高分子化学、放射線科学。低分子医薬品からPM2.5などの環境物質まで、広範な研究分野を追究する。ナッツや油脂などの権威としても知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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