内容説明
家康とその旗本、尾張屋清十郎、豪商・河村瑞賢、そして陰陽師。なぜ、悪所・浅草に吉原が誕生したのか。花魁道中、見返り柳、五十間道、稲荷社の謎に迫る!誰も書かなかった、誰も書けなかった吉原の真実。
目次
吉原遊廓の謎
吉原へ進出した男たちの郷
知多半島、須佐村。
♪須佐のみなとは金だらけ金だらけ
松本清十郎という男
故郷、須佐村の松本清十郎
千賀志摩守。そして徳川家康
知多半島は家康の故郷である
元吉原遊廓の誕生
庄司甚内が元吉原の開祖だとして〔ほか〕
著者等紹介
西まさる[ニシマサル]
1945年東京生まれ。作家・編集者。西まさる編集事務所主幹。はんだ郷土史研究会代表幹事。東海近世文学会会員。名鉄カルチャーセンター等、文化講座講師多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さすらいの雑魚
38
鬼滅遊郭編で炭治郎や宇髄天元がド派手に暴れる 吉原遊廓=新吉原は南知多衆が造り支配したとの歴史秘話を明かす。尾張廻船の財力と知多の黒鍬者の土木技術と知多半島に蟠踞した陰陽師の呪力知力の複合体に、神君家康公に直属する海賊大将千賀家の幕府中枢への影響力が加わると、花魁道中も華やかな江戸の粋の象徴と鄙びた南知多豊浜の点と線が繋がる。街場の屋台引きから揚屋の経営者に吉原の町役人まで知多衆が占めていたとか聴けば、時代劇や映画に映える華麗な吉原遊廓を支える町衆は知多半島から移った人々だ♪と新鮮な驚きに目からウロコさ。2022/01/05
月をみるもの
11
明暦の大火の後、浅草の北へと移転した新吉原。その建設に愛知県知多半島から多くのものが関わっているのはなぜなのか? 陰陽師や非人たちと新吉原建設事業とのつながり、公界としての吉原を危険視しつつも、裏から支配/管理を目論む幕閣。 あまりの面白さに、あわてて「吉原御免状」を読み返しちゃったよ。。https://bookmeter.com/books/5493202018/07/16
田中峰和
2
江戸を築いた家康の出身が愛知なので、その大改造を同郷の者たちに請け負わせた。新吉原への移転も知多半島の陰陽師や黒桑者たちに任せた。秀吉によって京都から追放された陰陽師たちを重用したのが家康。当時としては知識人の彼らの力を都市開発に活用したのは家康らしい。そして労働力として利用されたのが車善七ひきいる非人たち。明暦の大火で労働力の不足する中、彼らは大いに働いた。陰陽師の説明で京都の話題が出るが、著者は東京出身だからか、間違いだらけ。上京区にある清明神社を下京区とし、右京区の愛宕を左京区とするのは恥ずかしい。2022/02/20
natuki
2
「江戸の常識を覆す」というオビの惹句には眉唾だったが、読んでみると、まさに常識は覆った。吉原遊郭は庄司甚右衛門が開いたものだと思っていたが、それは旧吉原の40年弱のことで、新吉原は庄司らを追放して新体制(尾張の知多の人たち)で運営していたことなど驚くべき史実だ。 「吉原は陰陽師が主導していた。」これも驚いた。「見返り柳」「五十間道」「花魁の歩行法」、これらも陰陽道に基づくものという。まさに小説より奇なりの見本のようなものだ。 読み応えのあるノンフィクションである。2018/08/30