出版社内容情報
暗記物であった化学を大きく変えた、米国化学会が総力をあげて作った教科書の翻訳版。「有機化学」、「無機化学」などに分類しない従来にはなかった方法で解説し、全てのページが考えながら化学の基本を学ぶように書かれている。各章末に章末問題も収録した。
著者:American Chemical Society
監訳者:田丸 謙二 東京大学名誉教授
翻訳者:廣瀬 千秋 東京工業大学名誉教授
原書:『CHEMISTRY』 A Project of the American Chemical Society
W. H. Freeman Publishers, 2005
序 章
第1 章 水:自然が生んだ不思議
1.1 物質の相
1.2 原子モデル
1.3 分子モデル
1.4 分子モデルで使われる価電子:ルイス構造
1.5 電子対の3 次元配置
1.6 水分子の極性
1.7 水が室温で液体になっている理由
1.8 水の中の水素結合が果たすその他の構造的役割
1.9 生体分子の中の水素結合
1.10 相変化:液体から気体への変化
1.11 分子の計数:モルの概念
1.12 水の比熱:地球の保温メカニズム
1.13 章のまとめ
1.14 展開事項:液体の粘度
●第1 章 章末問題
第2 章 水溶液と溶解度
2.1 溶液中の物質
2.2 極性分子の水溶液
2.3 イオン化合物水溶液の特徴
2.4 イオン化合物の形成
2.5 イオン化合物の溶解にともなうエネルギー変化
2.6 イオン溶液からの沈殿反応
2.7 イオン化合物の溶解度則
2.8 濃度とmol 単位で表した物質量
2.9 質量・モル・体積の計算
2.10 溶液反応の化学量論
2.11 気体の水溶液
2.12 水自身の間での酸塩基反応
2.13 水溶液中の酸と塩基
2.14 プロトン移動反応の拡張-ルシャトリエの原理
2.15 章のまとめ
2.16 展開事項:CO2 と炭素循環
●第2 章 章末問題
第3 章 原子の起源
3.1 分光学そして星と宇宙の組成
3.2 裸の原子:原子核
3.3 宇宙の進化:星の誕生
3.4 核反応
3.5 核反応エネルギー
3.6 宇宙における元素の存在比と原子核の安定性
3.7 惑星の生成:地球の誕生
3.8 章のまとめ
3.9 展開事項:同位体-宇宙の年齢と蜜の甘味
●第3 章 章末問題
第4 章 原子の構造
4.1 元素の周期性と周期表
4.2 原子の発光スペクトルと吸収スペクトル
4.3 波動としてみた光
4.4 粒子としてみた光:光電効果
4.5 原子の量子モデル
4.6 波動の粒子性と粒子の波動性
4.7 原子内電子の波動モデル
4.8 原子内電子が持つエネルギー:原子が崩壊しない理由
4.9 多電子原子:電子スピン
4.10 周期性と電子殻の関係
4.11 波動方程式と原子軌道
4.12 章のまとめ
4.13 展開事項:球対称を持つ電子波のエネルギー
●第4 章 章末問題
第5 章 分子の構造
5.1 異性体
5.2 ルイス構造と異性体の分子模型
5.3 σ型分子軌道
5.4 シグマ軌道と分子の幾何構造
5.5 多重結合
5.6 π型分子軌道
5.7 非局在化軌道
5.8 分子の幾何構造の表現法
5.9 立体異性
5.10 官能基:生命を面白くするしくみ
5.11 分子認識
5.12 章のまとめ
5.13 展開事項:反結合性軌道と酸素
●第5 章 章末問題
第6 章 化学反応
6.1 化学反応の分類
6.2 イオン化合物の沈殿反応
6.3 ルイス酸とルイス塩基:定義
6.4 ルイス酸とルイス塩基:ブレンステッド-ローリーの酸塩基反応
6.5 ルイス/ ブレンステッド-ローリー塩基および酸の強度予測
6.6 ルイス酸とルイス塩基:金属イオン錯体
6.7 ルイス酸とルイス塩基:求電子試薬と求核試薬
6.8 形式電荷
6.9 酸化還元反応:電子の移動
6.10 酸化還元反応の反応方程式をバランスさせる
6.11 含炭素分子の酸化還元反応
6.12 章のまとめ
6.13 展開事項:滴定実験
●第6 章 章末問題
第7 章 化学におけるエネルギー論:エンタルピー
7.1 エネルギーと変化
7.2 熱エネルギー(熱)と力学的エネルギー(仕事)
7.3 熱エネルギーの移動
7.4 状態関数と経路関数
7.5 系と外界
7.6 熱量測定(カロリメトリー)とエンタルピーの導入
7.7 結合エンタルピー
7.8 標準生成エンタルピー
7.9 生体系におけるエネルギーの統御
7.10 圧力-容積仕事、内部エネルギー、エンタルピー
7.11 エンタルピーから分からないこと
7.12 章のまとめ
7.13 展開事項:理想気体と熱力学
●第7 章 章末問題
第8 章 エントロピーと分子の秩序性
8.1 混合と浸透
8.2 確率と変化
8.3 混合系における分子配置を計る
8.4 巨視的な系における混合と浸透の位置づけ
8.5 分子の間でのエネルギー分配
8.6 エントロピー
8.7 相変化と正味のエントロピー
8.8 ギブズ自由エネルギー
8.9 化学反応に対する熱力学計算
8.10 油と水が溶け合わない理由
8.11 両親媒性(Ambiphilic)分子:ミセルおよび二重層膜
8.12 溶液の束一性
8.13 浸透圧の計算
8.14 分子組織化の代償
8.15 章のまとめ
8.16 展開事項:ゴムの熱力学
●第8 章 章末問題
第9 章 化学平衡
9.1 平衡の実態
9.2 平衡点に対する数学的表現
9.3 酸塩基反応と平衡
9.4 共役酸塩基対の溶液:緩衝液
9.5 タンパク質が持つ酸塩基特性
9.6 イオン塩の溶解平衡
9.7 熱力学と平衡定数
9.8 平衡定数の温度依存性
9.9 生体系における熱力学
9.10 章のまとめ
9.11 展開事項:平衡定数の熱力学的基礎
●第9 章 章末問題
第10章 酸化還元:電気化学
10.1 電気分解
10.2 化学反応から得られる電流
10.3 電池の起電力
10.4 半電池電位:還元電位 874
10.5 化学電池で得られる仕事量および自由エネルギー
10.6 起電力の濃度依存性:ネルンスト式
10.7 還元電位とネルンスト式
10.8 共役レドックス反応
10.9 章のまとめ
10.10 展開事項:起電力と非酸化還元平衡
●第10 章 章末問題
第11章 反応経路
11.1 変化の道筋
11.2 化学変化の速度の測定と表現
11.3 反応速度に関する法則
11.4 反応の経路すなわち反応機構
11.5 1 次反応
11.6 温度と反応速度
11.7 光:反応を活性化するもう一つの方法
11.8 熱力学と反応速度論
11.9 章のまとめ
11.10 展開事項:酵素の触媒作用
●第11 章 章末問題
●付録A 章末問題解答
●付録B 298 K(25℃)における熱力学的データ
●付録C 標準還元電位: E°およびE°(pH 7)