出版社内容情報
子規や建樹の明治。安四や赤黄男の戦場。戦争や治安維持法下の青春。近代日本社会の歩みのなかの詩人たちと戦争の関わりを振り返る正岡子規や大和田建樹が生きた明治。尼崎安四の強靱、清冽な詩精神。富澤赤黄男の戦場での真情。戦争や治安維持法のもとで青春を過ごさざるを得なかった詩人たち。近代日本社会の歩みのなかの詩人たちと戦争の関わりを振り返る。
「(戦後70年を経て安全保障関連法案成立、集団的自衛権行使を容認する法的整備が進められるに至った)こうした時期、わたしは近代日本社会の歩みのなかで、詩人たちが戦争と、どのように関わり合ったかを、あらためて見てみたいと思う。過去の歴史は、常に現在からの審判に向き合わねばならない。というまなざしよりも、確かめることによって新たな未来に向けて、しっかりと、いまを考えたいと思うからだ。」(はじめにより)
1.はじめに
2.日清戦争と正岡子規
2-1.新聞「日本」
2-2.新聞「小日本」の編集長を
2-3.明治のナショナリズムのなかに
2-4.近衛師団付従軍記者
2-5.金州雑詩
2-6.子規の新体詩の可能性
2-7.国あり新聞無かるべからず、戦あり新聞記者無かるべからず。
3.唱歌と軍歌 大和田建樹?
3-1.夕空はれて あきかぜふき
3-2.すつる命は、君のため
3-3.愛国的国民感情の生成
3-4.歴史は完結していない
4.詩人伍長 尼崎安四?
4-1.五年にわたり南洋を転戦
4-2.ゆえしらず孤独で、狂おしく
4-3.詩をいかの墨でつくったインクで
4-4.これはこの世の人ならず
4-5.風のかたみ
5.やがてランプに戦場のふかい闇がくるぞ 富澤赤黄男
5-1.一億起つしののめの富士のふもとより
5-2.新興俳句運動とその時代
5-3.寒梅にあはれ鬱金の陽射かな
5-4.藁に醒めちさきつめたきランプなり
6.治安維持法のもとで
6-1.山部?太郎
6-1-1.朝鮮総督府で働きながら
6-1-2.詩誌が発禁に
6-2.『南海黒色詩集』「記録」「四国文学」など
6-2-1.言論と表現の自由
6-2-2.「記録」「四国文学」など
6-3.木原実(木原健)
6-3-1.ウスリーの荒野で
6-4.永井叔
6-4-1.音楽托鉢・大空詩人
6-5.野田真吉
6-5-1.軍隊に召集され詩を放棄
6-5-2.死ぬであろう時まで、気ままに詩でも作って
6-5-3.映像作家として
7.平和が平和であるために
7-1.徳永民平 星の輝きに世紀の悪夢を
7-2.敷村寛治 ありのままの暮らしに歴史を問う
7-3.図子英雄 軍神の母を凝視めて
7-4.香川紘子 ヒロシマ
8.おわりに
堀内 統義[ホリウチ ツネヨシ]
著者紹介1
1947年1月10日生まれ。
詩集に『平和風平和な街にかかる祝祭星座』(冬至書房)『罠』(昭森社)『海』(創樹社)『日の雨』(ミッドナイト・プレス)『よもだかんとりーぶるうす』(インクスポット)『まぼろしの日々、日々のまぼろし』(マルコボ・コム)『夜の舟』、『楠樹譚』、『耳のタラップ』、『ずっと、ここに』(創風社出版)他。
エッセイ集に『喩の島の懸崖』、『浮游蕩蕩 まつやまイエスタディ&トゥデイ』(創風社出版)『愛媛の地名 小さきものへのめまい』(愛媛県文化振興財団)。
評伝に『峡のまれびと 夭折俳人芝不器男の世界』(邑書林)『芝不器男』、『恋する正岡子規』(創風社出版)他。
共著に『歴史と文学の回廊 四国』(ぎょうせい)『四国遍路地図』然4巻(東海図版)『愛媛県謎解き散歩』(新人物往来社)他多数。
現在、不器男の俳句や文章をめぐる「不器男旬報」を随時刊行している。
内容説明
戦捷に沸く明治の言葉、戦地のイカの墨で書かれた詩、戦場から我が子を思い遣る俳句、平和が平和であるために語り継がれた言葉。戦争という時代に向き合った詩人たちの言葉に耳を傾ける。
目次
日清戦争と正岡子規
唱歌と軍歌 大和田建樹
詩人伍長 尼崎安四
やがてランプに戦場のふかい闇がくるぞ 富澤赤黄男
治安維持法のもとで
平和が平和であるために
著者等紹介
堀内統義[ホリウチツネヨシ]
1947年1月10日生まれ。現在、不器男の俳句や文章をめぐる「不器男旬報」を随時刊行している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。