出版社内容情報
憲法論において難解とされる財産権の保障を,ドイツの判例・学説の検証を足がかりに,日本における再構築を行う研究書。 法律によってその内容が形成される財産権に,憲法上保障が及ぶとはどういうことかという問題意識の下,ドイツの議論を精緻に検証し得られた知見を基に,日本における財産権の憲法的保障論の再構築を試み,また,財産権の保障構造に適合的な裁判所による審査がどのように行われるかについても考察する。
本書は,法制度を前提とする財産権の保障において,憲法が立法者に法律による内容形成を委託しているにもかかわらず,同時にその内容形成に憲法による拘束が及ばなければならないという「拘束のパラドックス」という問題と対峙する。それに際し鍵となる,法律から独立した「憲法上の財産権概念」につき,ドイツの学説・連邦憲法裁判所の判例が示した思考を整理,モデル化,さらに,憲法裁の違憲審査の枠組みの変遷・実質を丹念に追う。それらを基に終章では,従来の日本の学説における「原形」を探求する立場を克服するべく,保護領域としての財産権概念は憲法上自立的には観念せずに,「憲法上の考慮要素」が内容形成・既得の権利に関する立法の統制を行いうるものであるという立場を示し,最高裁判例との整合をも検討する。
はじめに
序章 日本の財産権論の問題状況
第1章 ドイツにおける「憲法と私法」論――財産権の憲法的保障の基礎理論
第2章 基本法下における財産権保障の概要
第3章 憲法上の財産権概念
第4章 連邦憲法裁判所による財産権保障の展開
第5章 財産権の審査枠組みの理論的分析
第6章 財産権の現存保障
終章 日本における財産権の憲法的保障
おわりに
あとがき
事項索引
判例索引
平良小百合[タイラサユリ]
著・文・その他
目次
序章 日本の財産権論の問題状況
第1章 ドイツにおける「憲法と私法」論―財産権の憲法的保障の基礎理論
第2章 基本法下における財産権保障の概要
第3章 憲法上の財産権概念
第4章 連邦憲法裁判所による財産権保障の展開
第5章 財産権の審査枠組みの理論的分析
第6章 財産権の現存保障
終章 日本における財産権の憲法的保障
著者等紹介
平良小百合[タイラサユリ]
1985(昭和60)年宮崎県に生まれる。2007(平成19)年九州大学法学部卒業。2012(平成24)年九州大学大学院法学府公法・社会法学専攻博士後期課程単位取得退学。九州大学法学部・大学院法学研究院助教、神戸大学法学部・大学院法学研究科特命講師を経て、山口大学経済学部・大学院経済学研究科講師。博士(法学)(2013(平成25)年、九州大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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