内容説明
死ぬときは優しい医者にあいたいね。がん、認知症、介護、在宅医療、看取り…病を包み込み、老いと向き合う「田舎医者」のあたたかなまなざし。渾身の書き下ろし!
目次
第1章 簡単に死なせてくれない
第2章 痛みに寄り添って
第3章 介護と家族
第4章 なじみの場所で
第5章 看取りと仕舞い
第6章 自然のなかで生きて
著者等紹介
小笠原望[オガサワラノゾミ]
1951年高知県土佐市生まれ。1976年弘前大学医学部卒業。高松赤十字病院を経て1997年大野内科(四万十市)勤務。2000年同院長。2018年同理事長就任。外来診療に加え、かかりつけ医として在宅医療で地域医療を支える。「四万十のゲリラ医者」として活動している。患者だけでなく、地域住民を対象に2010年からはじめた「健康教室」が人気で、すでに開催100回を超えた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yyrn
23
敬老の日を前に、一人暮らしの90過ぎの実父と義母を招いて昼食会を開いたが、これまで出来ていたことがどんどんできなくなっている二人を交互に見ながら、いよいよ介護の季節が我が家にもやってきたか、しっかり面倒をみないとな、との思いを新たにしたが、聖人君子ではないので様々な雑感情も生じるが、それらを落ち着かせる上で参考となる事例に溢れた本だった。手元に置いて何度も読み返そう。▼でも待てよ。被介護者にも介護の現場や訪問治療の実態を知っておいてもらった方が、これから同じ方向を向いて対応できるんじゃないかと思い、⇒2021/09/19
GORIRA800
11
在宅医療って結構負担がかかるケースが多いと思っていた でも私も入院経験があるのですがやっぱり体が弱い時に聞く家族の声って特別なものだと感じていた 最後くらい、せめて死ぬ直前くらいはできれば家でのびのびと迎えたいと思う 2021/10/07
rors(セナ)
7
親の介護の事を考えないといけないなと思い始めて、偶然この本を手に取った。若い頃に旅行した四万十川の雄大な流れが目に浮かぶ。四万十の地方で言われる「いい仕舞い」をお手伝いする内科医、小笠原先生の優しい話。少し硬くなっていた心が柔らかくなり、穏やかになった。親の介護の前に読めて良かった。小笠原先生のような先生にそばに居ていただきたいです。 ヤンデル先生のおすすめの本。2021/07/03
チェアー
5
生と死は別々のことではなくて、一つの流れの上にあることなのだと感じる。だから特別な死に方を選ぶのではなく、それまでの流れを引き継ぐ形で自然に死を迎えることができればいいと思う。 それは言うは易し、であって、そのような選択を患者に委ねられる医師、医療スタッフがいなければ無理だ。 読んでいると、筆者は丹念に話を聞き、電話をし、自宅を訪れている。筆者が倒れないかと心配になってしまう。 私も自分の選択を尊重してくれる人に、看取ってもらいたいと考えた。2021/08/08
りんご好き
1
開業医の一人としてこの本を手に取りました。 真摯に在宅医療をされていることに感服しています。 「ひとのいのちも自然の中のもの」という言葉が印象に残りました。 四万十川という大河のそばで暮らす住民は 洪水のようなどうしても抗いようのないことが起きるということを心得ていて 命も最期は自然に任せた方がいいという生命観に至るというように読み受けました。 養老孟司先生の「脳化社会」という言葉が思い起こされます。 脳が作ったものばかりの環境に身を置いていると、命も自然の中のものということを忘れてしまうと思います。